ep3 ページ5
その瞬間になって私はやっと大人しく仕事に行かなかったことを後悔する。
私だとバレると余計に話がこじれそうで、フードを目深に被り直した。
一方の銀時は、冷や汗だらだらの私のことなんて知るよしもなく、店員さんへのお説教を始める。
「ダメだよ〜最近、こういう手口が流行ってんだから」
待て待て、なんで私が食い逃げ前提で話が進んでるんだ?
「いや本当にちゃんとお金届けに来ますから!食い逃げなんてしませ――」
そこまで言って、背後にヒヤリと嫌な気配を感じた。振り向けば……
「成る程ナ。お前、顔を隠すためにフード被ってたアルな」
「食い逃げ犯が顔を見られたら困りますからね」
和傘の先を構える少女と、眼鏡をクイと上げてそう言う少年。
なんてことだ、見事につじつまが合ってしまっている!
でもちょっと待ってくれ。
「そもそもいきなり人様のこと食い逃げ呼ばわりしておたくら、誰?」
キッと三人を睨みつければ銀時が柄にもなくキメ顔をして答える。
「この街の希望と平和を守る――それが俺達、万事屋だ」
「絶賛金欠中で家賃も払えてないけどネ」
「神楽ちゃん、それ言っちゃダメ。今、銀さん凄くカッコ良くキメにいってたのにそれ言っちゃダメ」
……えーと、イマイチ締まりの無いやりとりだけど、要するにこの3人は同僚ってこと?
「じゃあそっちの方が胡散臭いじゃないですか!グルで私を嵌めようとしてるんじゃありません?」
「そんな事して僕達に何の得があるって言うんですか」
眼鏡の少年はそう言うが、あの銀時が理由も無しにこんな面倒事に首を突っ込むわけない。
銀時が考えそうなこと、銀時が考えそうなこと――……
店内を見渡し、3人が食事をしていたであろうテーブルに目を留めた。パフェ3つにパスタ、カレーライス5皿。
テーブルの上には二枚のレシート。
――……あー、成る程。
「例えば、私を大人しくお縄につかせればたちまちヒーロー。店の感謝に便乗して自分達の会計、タダにさせるつもりだったとか」
「うぐっ……」
図星かよ。
「銀ちゃん、どうするネ?私達の作戦もろバレヨ」
「ちょっと待って下さいよ、2人とも!僕そんな話聞いてませんけど!?」
ギャーギャー騒ぎ出す3人を他所に私は時計を確認する。
……うん、こりゃもう大遅刻決定だ。
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ギラッフェ(プロフ) - からちぇさん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも応援お願いします! (2020年9月11日 22時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
からちぇ - ドストライクな作品でした!めちゃくちゃ好きです (2020年9月10日 19時) (レス) id: b750728265 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 今井月華さん» コメントありがとうございます!ちょっと気を抜くとすぐ体調崩しちゃいますからね、気をつけます。月華さんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ハニーさん» ご心配ありがとうございます!これからインフルエンザの季節ですし、ハニーさんもお気をつけ下さい(^^) (2018年11月3日 7時) (レス) id: c530a04275 (このIDを非表示/違反報告)
今井月華(プロフ) - お疲れ様です。体調にはお気をつけ下さい^_^ (2018年11月2日 21時) (レス) id: 7d138352b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2018年10月1日 22時