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広い家のリビングに、秒針の音だけが静かに響く




母「いつも言っているでしょ?なぜ満点が取れないの」



目の前には、99点と書かれたテスト



母「この前もケアレスミスで1点。なんであんたは満点も取れないの?」



いいじゃんか、1問くらい。


たった一言なのに言えない


言うのが、怖い




母「大体、スケートも最近ミスばっかり。もうすぐ大会も控えているのに、まともにジャンプすら跳べないの?」



スケートできないお母さんが言わないで。



母「そんなんだから、昌磨くんにも置いていかれるのよ。」



置いていかれてなんて、ないのに。




母「本当にあんたは無能ね。お兄ちゃん達を見習いなさい」



一緒に、しないで。




母「この役立たず」





「…」




母「何とか言いなさい。それとも、まともに喋ることすら」




「…わたしは、機械じゃない」




とうとう、堪忍袋の緒が切れた


役立たず?無能?


役立たずで無能なのは、お母さんの方だ



「わたしは、機械でもなければ完璧人間でもない。
 貴方を満足させるための存在でもない。
 お兄ちゃんでもない。
 貴方の野望を押し付けないで。」



そう、母に放った


瞬間、空気は凍って


まさに、一触即発



母「なんていうことを…。呆れたわ。」



「貴方に呆れられようが構わない。私には関係ない。」



母「誰に似たのかしら…。」



「誰に似た訳でもない。でも、親の態度は子供の態度に反映する」



母「Aは、まるで、私が悪いとでも言いたいの?」



「わかってるんじゃん。」



怒りのあまり、肩がわなわなと震える

固く握りしめた拳に、爪が食い込むのが分かった



母「あんたなんて、」




要らない





「…私だって、こんな親、要らない」




私の頬を一筋の涙が伝った




母「丁度いいじゃない。出ていきなさいよ。」



「…言われなくても」


手の甲で乱暴に涙を拭って、自室へ向かう


もう明日の準備はしてあるから、あとは衣類を用意するだけ


持っていたリュックに、衣類を詰め込んだ



行く宛ては、ある。





「いってきます」




その日、わたしは初めて家出をした

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作者名:そうめんになりたい。 | 作成日時:2022年2月25日 22時

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