#5 宣戦布告 ページ6
「我々神話財閥は、ノアの方舟に宣戦布告する!」
金髪の女性が言い放った言葉に、明らかに花音の顔色が変わった。
「クトゥルフス……って!」
「え、花音ちゃん、知ってるの……!?」
ニゲラの問いに、花音は地面に打ち付けられたせいで少し痛む右腕を庇いながら「う……うん」と頷く。
「都市伝説みたいなものだけど……反社会的組織だよ。犯罪者症候群とは関係ないと思ってたけど……」
「……私達の前に現れたって事は、犯罪者症候群について何か知ってるんだよね……」
ニゲラの表情が真剣になる。赤髪の女性が声を上げて笑った。
「方舟の乗組員の君達は勇気があって良い
ねぇ。アタシ達みたいな大人になるとさ、もう仲間の話よりも、どう戦うかしか考えてないんだからさぁ」
「え?ハンナはそんな事まで考えているのか。私はそうでもないんだが」
「え、そうなの!?レーズンちゃんの事だから、てっきり考えてるのかと……」
ハンナ、レーズンと呼び合う二人。緊張感が無いというか、特に赤髪の方が気安いというか、奇抜な外観を除けば噂の犯罪組織とはとても思えない。
「噂になるほど強い組織が、最初から手の内を明かさないよね……花音ちゃん、神話財閥って、マフィアみたいなもの?」
「う、うん。らしいよ。ボスの人が最初から強い幹部を派遣しては来ないだろうから……この人達は構成員、って事になるのかな」
「ご名答!」
ニゲラと花音の会話が聞いていたらしく、赤髪の女性――ハンナが嬉しそうに言った。
「“立て”」
レーズンの言葉で自動的にニゲラと花音の身体が立ち上がる。自分の意志ではない――言霊だ。
「我らの邪魔をする弱小組織が。……殲滅してくれる」
「ちょっと待ちなよレーズンちゃん」
「え?」
臨戦態勢から止めに入られ、レーズンは形の整った眉を不快そうにひそめる。
「レーズンちゃんとアタシの能力じゃあ、二人の戦闘系の能力には敵わないと思うよ?」
「何?」
「そもそも今日の目的は宣戦布告だけだからね。自分で言っておいてなんだけど、この子達には帰って“ノアの方舟”のリーダーに、アタシ達の事を伝えてもらう必要があるんだよ。だから戦うより逃げる方が得策だ」
唇を尖らせ、レーズンは不満げだったが「……仕方ないか」と花音達に背を向ける。
「忘れるな。我々はいずれお前達に試練を与える」
「その時まで待ってなよ。んじゃあね!」
“レーズンとハンナよ、アジトへ戻れ”
ふっ、と。
レーズンの言霊で、二人は消えた。
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くろーさぎ(プロフ) - 春雨さん» 確認致しました……!! ご報告ありがとうございます、了解しました! (2020年2月5日 9時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
春雨(プロフ) - 夜中にすみません(−−:)柊明のテンプレ、関係の欄書き込むの忘れてまして…急いで編集したので、お手数ですがご確認頂けると幸いです…本当にごめんなさい… (2020年2月5日 1時) (レス) id: 55d503be78 (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - 蓮@雫3318さん» あぁなるほど! すみません!!m(_ _)mサンプルボイスを見ると、どちらでも通用しそうだったもので……以降気をつけますね! (2020年2月4日 10時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
蓮@雫3318(プロフ) - その…口煩くて申し訳ありませんが、口調が少しだけ、違ってて…このままでも良いのですが、華は何だい?とか君らはどうしたいんだい?とかの口調です… (2020年2月4日 7時) (レス) id: 57a1a02777 (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - 蓮@雫3318さん» 大丈夫ですよー! ありがとうございます! (2020年2月3日 21時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
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