伍拾 ページ10
「それでは、引き続き…始めっ!!」
開始の合図が出た途端、Aは思い切り1本の木刀を、力いっぱい空高くぶん投げた。
(なんだ?!)
一瞬。
ほんの一瞬、彼は上に投げられた木刀の方に、気が向いてしまった。
つまり、Aから視線を話してしまったのだ。
投げられた木刀は特に何の意味もなく、庭の真ん中に音を立てて落ちてきただけだった。
(しまった、相手から気を逸らしてしまった…!)
ハッとなり、Aがいたであろう方を急いで向いたが…いない。
それどころか、360度見渡しても、全く見当たらないのだ。
(どこに隠れた…?!クソ、面倒な真似をしやがって!!)
「隠れてないで、出てこい!!面倒な真似をするんじゃない!!」
彼は、どこにいるかわからないAに向かってそう叫んだ。
──────
「どうなっているんだ、これは」
蛇の男が信じられない、というように声を漏らした。
自分の目の前の光景が理解出来ていないようだ。
それもそのはず。なぜなら、
「目の前に立っているのに、なぜ気づかないんだ?
まるで、見えていないような…」
そう、Aは男の目の前に立っているのだ。
木刀を上に投げると同時に、Aの瞳は『紫』へと変わった。
そして特に慌てる様子もなく、歩いて男の前に立ち、そのまま静止している。
「目の前に立っているの?どこに?私にはどこにあの子がいるのか、分からないわ…?」
「よもや、俺もだ!!」
「伊黒、お前には見えてるのか?俺には派手に分からん!!」
「何を、どう見ても乙の男の真ん前に立っているだろう?」
「えぇ、私にもそう見えますよ。蜜璃さんと宇髄さんと、煉獄さんには見えていないんですか?」
「僕も…見えない、ですけど」
「時透君も?」
柱の中でも、Aの姿が見える者と、見えない者がいるらしい。
と、Aが動きを見せた。
素早く男の後ろに回ったのだ。
「僕から目を離しちゃいましたね。
ダメですよ、そんなの。」
死 ん じ ゃ い ま す よ ?
男は、全身に鳥肌が立つのを感じた。
(なぜ、今の今までいなかった所にいきなり現れたんだ?!?!)
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ぴえんはけつの穴 - 嘘だろなんでハートついてないんだ…!こんな神作つけないほうがおかしい…設定も文もキャラの関係性も何もかもが面白いです…!! (10月30日 15時) (レス) @page25 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 黒豆粉さん» コメントありがとうございます!素敵な作品と言っていただけて、本当に嬉しいです!これからも更新頑張っていきますので、よろしくお願いします! (2019年11月18日 23時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - とっても素敵な作品!!!!すっごく好きです!!とっても面白くて続きが気になります!!!更新頑張ってくださいね!!!待ってます!!! (2019年11月18日 18時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 雷斗さん» 大変失礼しました、すぐに直します!教えて下さりありがとうございます!! (2019年11月10日 12時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
雷斗(プロフ) - 度々すみません、!柒拾参の6行目ですが、1時間時間になってます、! (2019年11月10日 11時) (レス) id: 3d539c4143 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月25日 23時