肆拾仇 ページ9
「今のを避けるとは、お前は本当に何者なんだ」
「僕が何者か、なんてどうだっていいじゃないですか。この勝負には何ら関係の無いことだ」
素早く間合いを取るが、逃げてばかりではやはり埒もあかないし、どうしたものか。
「少し、止めてもいいかな?」
お館様からの声に、動きを止める。
「A、君は──どうして、攻撃をしないんだい?
君なら、攻撃出来る時はいくらでもあったはず。」
「お恥ずかしながら…実は、倒すということの基準がわからないので攻撃もロクに出来ずにいたのです」
金と赤の髪の人が頭を少し傾げた。
「むぅ、倒すの基準、だと?」
「はい。
倒すとはつまり、殺すということですか?
それとも、地に背をつけさせること?
はたまた、戦意喪失させること?
戦えぬ状態にすること?
…それが分からず、攻撃が出来なかったのです。なので、倒すの基準を教えていただきたく思います。」
───────
柱は皆、目を見張った。
平然と、倒すとは殺すことか、と聞いてきたのだ。
それも、『甲』に限りなく近しい『乙』の鬼殺隊員を、だ。
(この子、自分の勝算が100%だと思っているの?…なんて自信、キュンとしちゃったわ)
一際派手な男が鼻でAを笑う。
「オイオイ、乙の隊員を殺せると思ってやがるのか?舐められたもんだぜ、鬼殺隊も!!」
お館様は少し考えたような顔をしてから、Aに向かって告げた。
「流石に殺すのは駄目だよ。
彼も、私の子供たちのうちの1人なのだから。
そうだね、彼の背を地面に付けて、なおかつ首に剣先を当てることができたら…つまり、彼が反撃出来ない状態になったら、倒した、ということにしようか」
すると、Aの顔がパアッと華やいだ。
「いいですね、それ!!分かりました、それで構いません!さぁ、続行しましょうか!」
なんて無邪気に笑う子なんだろう。
それも、戦い事でだ。
まるで新しい玩具を与えられた子供のように、目をキラキラさせて…いや、正確にはギラギラさせて、目の前の獲物を見据えている。
「コイツァ、化けるなァ」
白髪の傷だらけの男は、目の前の大きな伸び代を抱えた少年を見て、何か恐ろしいものを見るようにボソリと呟いた。
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ぴえんはけつの穴 - 嘘だろなんでハートついてないんだ…!こんな神作つけないほうがおかしい…設定も文もキャラの関係性も何もかもが面白いです…!! (10月30日 15時) (レス) @page25 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 黒豆粉さん» コメントありがとうございます!素敵な作品と言っていただけて、本当に嬉しいです!これからも更新頑張っていきますので、よろしくお願いします! (2019年11月18日 23時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - とっても素敵な作品!!!!すっごく好きです!!とっても面白くて続きが気になります!!!更新頑張ってくださいね!!!待ってます!!! (2019年11月18日 18時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 雷斗さん» 大変失礼しました、すぐに直します!教えて下さりありがとうございます!! (2019年11月10日 12時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
雷斗(プロフ) - 度々すみません、!柒拾参の6行目ですが、1時間時間になってます、! (2019年11月10日 11時) (レス) id: 3d539c4143 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月25日 23時