鬼滅の刃 痛みの感じぬ子 弐

陸拾玖 ページ29

小さな声で呟かれたので何を言っていたのかは分からなかったが、何か背にぞわりとしたものを感じた。









と、ある部屋の前で奥さんが止まったので、Aも一緒に立ち止まる。









｢天元様、A君を連れてまいりました。

入ってもよろしいですか？｣









｢おう、入ってくれ！｣









中から大きな声が聞こえ、奥さんが障子を開ける。









部屋の中には、前と同じ派手な隊服姿の宇髄さんが座っていた。









｢来たかA！！｣









｢はい！今日はよろしくお願いします｣









｢あぁ、じゃあまずは────｣









｢ちょっとよろしいですか、天元様｣









奥さんがサッと口を挟んだので、宇髄さんも喋るのをやめて奥さんの声に耳を傾けた。









｢天元様、A君のこと女の子だと申してらっしゃいましたよね？｣









｢ああ、そうだが｣









｢聞いたら彼、男の子らしいじゃないですか！失礼なことを言ってしまいましたよ！｣









奥さんはもう！と可愛らしく頬を膨らませて怒ってみせた。








これは…確かに善逸はかなり妬むかもしれない。









奥さんの言葉を聞いて、宇髄さんはショックだと言わんばかりに目を見開いた









｢派手に本当か？！確かに、中性的な顔立ちだな、男だと言われればそうも見える…｣









｢ちゃんと確認してください…｣









｢そうお気になさらず、自分でも女顔の自覚はありますし！｣









｢フーン…男ねぇ…｣









宇髄さんは何やら僕の体をジロジロと見たあと、それはそれは無邪気な顔で笑った。









｢なら、ガンガンに稽古しても大丈夫だな！｣

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