鬼滅の刃 痛みの感じぬ子 弐

陸拾肆 ページ24

｢すまない、もう少し大きい声で言ってくれるか？あまり聞こえないから…｣









炭治郎がふと隣を見ると、善逸が顔をさあっと青くして震えていた。









｢い、今のほんとなの？Aは、本当に…？｣









｢だから、言いたくなかった…｣









｢どういうことなんだ、話についていけない｣









｢だから！！｣









Aはやけくそに髪掻き乱しながら｢もう！！｣と声を荒げて3人を睨むように見た。









｢…殺し屋、だったんだ｣









｢は？｣









｢殺し屋、ってあの人を殺す？！｣









｢そうそれ｣









3人は唖然とした表情でAを見て、言葉がないと言うように静寂が訪れた。









｢引かないって言ったじゃんね…でもこればっかりは引かないとか無理か…｣









顔が俯いていく。









3人の顔を見るのが怖い。









次口を開いた時、最初になんと零すのだろうか。









人殺し？







人間のゴミ？









はたまた…狂ってる？









｢そうか…そうだったんだな｣









頭の上から降ってくる炭治郎の言葉に肩を震わせた。









嫌われた、かな









｢でもなにか理由があったんだろう？｣









｢へ？｣









思わず素っ頓狂な声が出た。









そんな軽い反応で終わらせるのとかあり？









｢ひ、人殺してたんだぞ？そんな、引いたりしないのか？｣









｢まぁ人を殺すのは、そりゃ、ダメなことだと思うけどさぁ…結局鬼殺隊だって似たようなもんでしょ｣









｢確かにな｣









｢殺すのが鬼になった人なわけで、結局もとは人間だから、俺らも人を殺してるのと同じわけで…ってなんか鬱になりそう！！この話やめようか！！！？？｣









善逸が頭を抱えてそう叫ぶと、炭治郎は｢落ち着け善逸｣と言って善逸をなだめた。









｢それに、Aにも理由があるんだろう？俺はAと2日間しか一緒にいないが、それでも心根の優しいやつだって分かった。だから、何か理由があって、その仕事をやっていたんじゃないか？｣









炭治郎がそう言って、僕に微笑んだ。









優しいとか、そういう次元じゃない。









普通は受け入れられないはずの事を、なぜそう易々と受け入れられるんだ。









なぜ、そう簡単に、許すんだ。なぜ、なぜ…

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