伍拾弐 ページ12
男の放ったたった一閃が、広い庭に突き刺さった。
その様はまるで庭に突然氷山が現れたような、庭一面を氷で覆う、大技だった。
男は肩で息をしながら、口元を綻ばせていた。
(これでやった、確実に!!殺したのは悪いが、俺を怒らせたアイツが悪いんだ、俺は悪くな)
「凄いねぇ、どうやったらそんな氷出せるんだろう?僕にも出来るかなぁ」
だが、Aは──
傷一つ付かず、それどころかいつ移動したのか、男の隣からケロリとした顔で男に話しかけていた。
男の顔から、血の気が引いて真っ青どころか土色へと顔色が変わっていく。
「なんなんだ、お前は…!ば、化物…!!」
「酷いなぁ化物、だなんて。まぁ自分でもそう思うし、言われることも多いから別段気にしないけど」
男の攻撃はもう、完全に冷静さを欠いたそれだった。
自分を見る彼の目は恐怖で滲み、ガムシャラに突っ込んでくるだけ。
「うわぁぁぁぁあ!!!」
(思ったより早く壊れた…)
男の鳩尾に剣の柄を入れ、よろけた所を押し倒す。
男の胸を片足で踏みつけ、起き上がれないようにすると、首に剣先をつけた。
「そこまで!!勝者、A!!」
金と赤の髪の人が大きな声でそう告げたので、男の胸から足を退かした。
柱の人達や、お館様は満足そうにしていたが…
思わず小さな声で、本音が漏れてしまった。
なんだ、
「…つまんないの」
─────────
Aの目の前の男は、完全に怯えきって、尻もちを着いたまま動けなかった。
(俺が、負けた…?
いやそんな事より、なぜ鬼殺隊でもない奴がこんなに強いんだ…おかしい、おかしいだろ、)
「オイ」
男は声をかけられ、ハッとして声の方を向くとそこには傷だらけの白髪の男…風柱が立っていた。
「は、はい…」
「お館様がお呼びだ。」
(そうだった、負けたら降格…折角乙まで来たのに、クソ、クソクソ、こんなことなら引き受けなきゃ良かった…)
「私は戦う前に、君が負けたら降格だ、と言ったね」
「…はい」
「あれは、嘘なんだ」
「え?」
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ぴえんはけつの穴 - 嘘だろなんでハートついてないんだ…!こんな神作つけないほうがおかしい…設定も文もキャラの関係性も何もかもが面白いです…!! (10月30日 15時) (レス) @page25 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 黒豆粉さん» コメントありがとうございます!素敵な作品と言っていただけて、本当に嬉しいです!これからも更新頑張っていきますので、よろしくお願いします! (2019年11月18日 23時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - とっても素敵な作品!!!!すっごく好きです!!とっても面白くて続きが気になります!!!更新頑張ってくださいね!!!待ってます!!! (2019年11月18日 18時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 雷斗さん» 大変失礼しました、すぐに直します!教えて下さりありがとうございます!! (2019年11月10日 12時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
雷斗(プロフ) - 度々すみません、!柒拾参の6行目ですが、1時間時間になってます、! (2019年11月10日 11時) (レス) id: 3d539c4143 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2019年9月25日 23時