鬼滅の刃 痛みの感じぬ子

弐 ページ6

化物は足首をありえない方向にひねった。


もちろん痛みは無いが、これは折れたか？


化け物の首はいつの間にやら治っており、ニタニタとこちらを見ている。


｢残念だったなァ、俺はそう簡単には死なないのよ、ガキ｣


｢首が飛んだのに生きてるとか、どうすりゃいいんだ、もう｣


片足を負傷しているため、思うように攻撃できない。


避けるのに必死だ。


(これはもう隙を見て逃げるしかない…倒したかったけど、無理に動くのは命取りだ)


そう思い、瞳を再び『緑』に変えた。


だが、瞳を変えるよりも早く化物は腹に蹴りを入れた。


｢ぐッ！！｣


木に打ち付けられ、吐瀉物をぶちまける。


(やっぱり痛くないけど、出るもんは出るわな)


起き上がろうとしたが、首を締められた。


息が思うようにできない。


｢終わりだ、人間にしてはよくやった方だぜ？｣


目の前に化物の口が迫ってくる。


(うーん、僕どう足掻いても生き返るし、腹の中で僕がそのまま生き返ったら、死ぬのはアンタだけどネ)


そう思い、諦めたとき。


｢水の呼吸、壱の型…水面斬りッ！！｣


呼吸が突如、楽になった。


自分と一緒にドサッと地面に落ちたのは、化物の腕。


｢ぅわッ！！！｣


びっくりして飛び退くと、サッと僕を守るように、市松模様の羽織を着た男の子が目の前に立った。


｢もう大丈夫、よく持ちこたえた！！あとは任せてくれ！｣


そう言って男の子は優しげに笑うと、化け物に向き合った。


｢なんだお前…俺の邪魔をするなッ！｣


再び化物が伸ばしてきた手を、容赦なく叩き斬る。


いいなぁ、僕も刀があったら戦えたのに。


素手じゃ流石に無理があったよ、やっぱり。


男の子はすかさず化物の間合いに入ると、不思議な呼吸をしはじめた。


｢水の呼吸、肆の型…打ち潮！！｣


先程同様、刀から水が出たかと思うと、化物の首が飛んでいった。


でも、あいつは直ぐに復活する、意味が無い！


ところが。


｢え？消えていってる？｣


化物は何か捨て台詞を吐きながら、僕が首を飛ばした時と違い、サラサラと灰になって消えていく。


なぜ？僕だって、首を飛ばしたのに。

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