壊れた星の輝きを・弐【鬼滅の刃】【時透無一郎】

陸拾弐 ページ18

時透side




どうしよう、本格的に見えなくなってきた



あぁ、ここまでなのかな








A、僕はAが好きだったよ




人を好きになったのは初めてで初めはこの気持ちにさえ気付けなかったけど




今なら堂々と胸を張って言える








「A、好きだよ」





そう呟いた途端Aはとてつもない勢いで戻ってきて僕の額に手を添えた




Aの目には涙が浮かんでいた




『ごめんね、無一郎。大好きだから、私を忘れて？』






これは都合のいい夢なのかな


現実だったらどれほど良かっただろうか


僕のこと、大好きだって


みんな、聞いた？


僕、嬉しさと驚きで飛びそう






Aの手が僕の額から頬に滑った


…僕の大好きな優しい手


手の甲はすべすべなのに、平は豆が潰れたあとがある努力の手





『でも、せめてこの私の想いは許して……ｯ？』



Aの顔が近づいてくる

僕は何かを察して目を閉じた



心臓は大きく高鳴っている






そして数秒後、唇から少し外れた場所に柔らかいAのものが落とされた







その時間は長いようで、とても短かった




僕は離れた唇がとても冷たく感じた



Aの唇、暖かかったな








僕、今だけは血鬼術にかからない気がする



ずっと恋心を自覚してから恋焦がれてきたんだ



忘れる、忘れられるはずがない


せっかくのAからのキスは唇にちゃんとして欲しかったけど



両思いなら僕、遠慮なくいくよ？






でも、まずこんな夢現になっている暇じゃない




起きて、、、Aに会いに行かなくちゃ







そういえば、額に手置いてた時に術をかけたのかな？


多分、効いてないよ？



僕、Aのこと覚えてるもん




やったね、これで記憶を持ったままAに会える








待っててね、Aが嫌がるくらいに愛してあげる






僕はおそらくこれまでにない顔をしていたことだろう


口角が上がるのを抑えることは出来なかった

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