玖拾肆 ページ3
『も、もう！ 急にどうしたの』
ここで働くのやめろって
なんで？
…心配だから、なんて
無一郎のことだし、ないな
「別に、ただ思っただけだけど？」
なんで無一郎はそんなに怒ってるの？
『見せたことは無いよ、この彼岸花の模様もあるし
なにか、違う
そう思ったから』
私は花魁になったのにまだ男の人と
本来ならありえないけれど
主さんたちに気に入られるように
思ってもいない言葉をかけて
腰や身体を触られても
生暖かい視線を感じても
笑顔を崩さずに努力した
早く無限城に帰りたかったけど
堕姫姉ともいたかったし、自分から行くって言ったから……
我慢した
でも、そういうことをしたことがなくても
そんな雰囲気にはなってしまうもので
主さんと二人きりで部屋に残された時
主さんは私を押し倒してきた
流石に鍛えてもいない男の人、鬼である私は逃げることも出来たが
京極屋の人達に迷惑はかけられない
そして、身体を触られそうになったとき、
無意識に感じた
�爐海凌佑任呂覆き�
その後、堕姫姉が助けに来てくれた
今思えば、堕姫姉には感謝しかない
それからも何度かそういうことがあったが、
堕姫姉が相手の頭をとてつもない握力で掴んでいたり、
妓夫兄が背後から襲いかかったり、
杏寿郎が腕を捻りあげてくれたこともあった
『私は、自分のことがよく分からないの』
「どういうこと」
『まぁ、無一郎ならいいか
堕姫姉が言ってた通りだけど、
私は自分が一部だけど記憶がないことは気付いてたの
今も思い出した訳では無いけれど
きっとそれは私にとって大切な、失いたくない記憶だったと思う』
「思い出したいとは思わないの」
『怖くなっちゃったの
思い出したら何かが変わってしまう、そんな気がする
それが吉と出るか凶と出るかは分からないけれど……
無一郎は、どう思う…？』
ーーー
時透side
正直、この数日で今のAのことはよく知れたと思う
遊郭に何度も通ったし
でも、遊郭はそういう場所だ
さっきあった男のような奴もいる(捌拾捌話参照)
そして、この無防備さ
もう襲われても文句言えないよ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 225人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凛鵺 - 初コメ失礼します！ これまでの作品、全て見ました！ …神ですか？ これからも応援してます！ 現在は初めから書き直しているそうですが更新されたらまた見に行きます！ 応援してます！ 頑張ってくださいね！ (4月24日 21時) (
レス) @page22 id: b15fc39926 (このIDを非表示/違反報告)
りさぷー - わお、気になっていつの間にか時間忘れて一気見してたわ、すごいヾ(≧▽≦*)o（語彙力皆無)これからも陰ながら応援していきます！でもどうか無理はなさらず<(_ _)> (4月21日 18時) (レス) @page32 id: f96d0b684d (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - わぁぁ！！お話が面白すぎて全部一気読みしちゃいました！！文才凄すぎて尊敬…！これからも更新頑張って下さい！！ (4月11日 16時) (レス) id: e840a98253 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：HAL | 作成日時：2024年2月27日 18時
