【刀剣乱舞】LOVE/LIKE/アイ？【短編集】 (ページ33)

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見習い・アウトページ33

な「一期さんも気持ち良くなりたいでしょ？」

衣擦れの音が響くと、Aは障子を開け放った。完全にアウトだ。

「すまないがそこまでだ」

一期はしっかり着込んだままだが、なみは着物の帯を解きあわや、という所だった。

「刀剣男士との恋愛は禁止されてはいないが双方の同意は必要だろう、なみ」

名前を呼ぶとなみは帯を拾い上げ部屋から出た。

「このことは上に報告させて貰う。いいな」

コクリと頷くと背中を丸めて自室へ戻って行った。

取り残された一期はAを見上げる。普段の穏やかさは消え、情けなくオドオドとした目線だった。

「もう寝ろ。そして忘れろ」

言い残すと、見回り用の蝋燭を消しAは立ち去った。

なみはきっちり二週間の実習を終え帰っていった。
あの夜の事は一期とA以外誰も知らない。
なみは隠しきった。何もなかった様に明るく振る舞い、一期と食事を共にし、粟田口の短刀と遊んだ。

なみが去った後、男士達は口々に寂しい、と述べた。

一期もだろ？

そう言われる度、彼は曖昧にそうですか、と笑った。

一「主、なみさんの件ですが」

彼が重い口を開いたのはそれから更に二週間後だった。夕食を終え、仕事に戻る途中に呼び止められる。

あれの事か、と了解し、政府からの報告を思い出す。

「あれはやはり駄目だった。上の判断だ」

一「…なみさんはどうなるのでしょうか」

「近々処分になるらしい」

処分、と小さく呟く。茫然と立ち尽くす。

「お前のせいじゃない。気にするな」

一「処分とは、一体どのような…！もう会えないのですか！」

「知らん。失敗作に興味はない」

失敗作は言い過ぎたか、と反省するが、同じ立場からしたらなみの存在はいい迷惑だ。私怨もあるが一期には早く忘れて貰わなければ。

肩を掴み泣きそうな顔で問い質す彼を見てAはふと疑問に思った。彼はなみを愛しているのか？それとも同情しているだけなのか？

愛とは難しいな。