見習い・来訪 ページ32
朝、政府からの通達があった。うちに見習い審神者を派遣するらしい。簡単に言えばインターンだろうか。養成校で一定の単位を修め素質ありと認められると開始する研修制度だ。二週間程審神者の元で学び合格が出ると(諸々の手続きの後)見事審神者として自分の本丸が持てる。合格不合格を判断する審神者は責任重大であり、非常に慎重に選ばれる。大体ベテランの、何度も見習いを見送って来た審神者が受け持つのだが。
「何故…私に…」
見習いを見るのは初めてだった。そもそも貧乏本丸で出陣遠征に手一杯なのに何故今更。
ぶつぶつ言いながら見習いのプロフィールを見ていると、とある項目に目が止まった。成る程な、と呟き、見習い受け入れの準備を開始した。
な「はじめまして!なみと言います!短い間ですがよろしくお願いします!」
二週間後、予定通り見習いが訪れた。写真のイメージ通り活発ではつらつとした子だ。キャリーケースを近侍の一期一振に持たせ本丸へ入って貰った。個人部屋は放送室の隣の休憩室を使う事にした。
「申し訳ないが私はこの後仕事があるので本丸の案内は彼に頼んである。古い建物だから足元に気をつけてくれ。偶に床が抜ける」
はい!と元気良く返事すると、二人は歩きだした。人当たりの良さで一期の横に並ぶ者はいない。適任だろう。
見習い受け入れから5日経った。刀剣男士達はなみと良い関係を築いている様子だった。人懐っこい性格で、粟田口の短刀と遊ぶ姿が印象的だった。特に一期とは親しげで、食事の席も隣だった。彼の方も頼られるのが嬉しいらしく、本物の兄弟の様に愛情を持って接していた。
いや、本当はそれ以上だったのかもしれない。
ある日、何時もの如く深夜の見回りを済ませて床に着こうとすると、男士棟から物音が聞こえた。既に0時を回っている。酒飲み連中がこっそり起き出したか。前にそんな事があったのだ。早寝早起きが鉄則の我が本丸で夜更かしは厳禁だ。説教からの正座コースか、と来た道を戻ると。
な「一期さん」
なみの声だ。妙に甘ったるい悩ましい声色で一期を呼ぶ。
一「なみさん、それはなりません」
な「何故?私と気持ちは同じでしょ?」
一「私は主の刀です」
な「Aさんと寝てるの?」
一「なっ…!?」
一期の部屋から聞こえてきたのはかなり刺激の強い会話だった。しかしまだ「本番」ではないらしい。まごつく一期をしつこく誘うなみ。果たして止めるべきか、否か。
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いづみ(プロフ) - 餅田さん» コメントありがとうございます。がんばります! (2020年8月19日 14時) (レス) id: 28595e5e52 (このIDを非表示/違反報告)
餅田 - 続きカモン! (2020年8月1日 23時) (レス) id: b17d16c344 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いづみ | 作成日時:2019年2月28日 23時