【刀剣乱舞】LOVE/LIKE/アイ？【短編集】 (ページ27)

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異変・違和感ページ27

朝。何時もの如く刀剣男士達が食堂に集まる。

ワクワクする大食漢。
前日のメニューから今日の献立を予想する現実派。
姿が見えない寝坊助。
配膳されない朝食。

おかしい。この時間にまだ完成していないのだろうか。そもそも寝坊助は審神者が起こす筈だ。居ない訳がない。
食堂が徐々にざわざわし始める。

それを鎮めたのは長谷部だった。

長「静かにしろ。兎に角俺が厨房を見てくる」

厨房の扉を開く。広々した調理室には式神が忙しく働いていない。まだ寝ている。当たり前だが料理も無い。

長「おい、お前たち、起きろ」

声を掛けてみるも、審神者の霊力がないと意味がない。全くの無反応だ。

また扉を開き、食堂に戻る。

燭「長谷部くん、どうだった？」

燭台切が心配そうに長谷部を覗き見る。顔色が優れないのが気になったのだ。

長「式神が起きない。霊力が無い…つまり主はまだお休みという事だ」

その足で近侍室に向かう。背中で燭台切が説明しているのを聞いた。ここは彼に任せよう。

長「主。失礼します」

襖を開ける。デスクに目を向ける。いない。床で寝ていないか確認する。いない。

長谷部は少しずつ焦りを感じていた。こんな事は初めてだった。いや、自分が顕現する前にあったのかもしれないが、彼の知る限りなかった、筈だ。

こうなると、奥の寝室に入るしかない。しかし、そんなプライベートな部屋に飛び込んで良いのだろうか。

一瞬の迷いも、最悪の事態を考えると消え去った。

長「主。まだお休みでしょうか」

返事はない。

長「主。ご無礼をお許し下さい」

長谷部は襖を開け放った。
ワンルーム程の空間に、布団、箪笥。他に何もない。
殺風景な部屋に胸が締め付けられる。

やはり、Aはいない。

近侍室を後にすると、燭台切やその他の刀剣達が待ち構えていた。
長谷部が無言で首を横に振ると、辺りの空気がざわめいた。

燭「僕達も探してみたんだけど…」

燭台切が言葉を濁すと、粟田口の短刀がわっと泣き出した。

五「主様…どこに行っちゃったんですか…？」

三「主ならここにいるぞ」

Aは三日月の腕の中で眠っていた。熟睡している様で、騒めく男士に囲まれてもピクリとも動かない。

長「主は、一体何処に、」

自分より先に見つけた事にプライドが傷付いたのだろう。口の端をヒクヒク吊り上げて長谷部が聞く。

三「脱衣所で眠っていた」

長谷部の顔が一気に赤くなる。それを横目に気付き、

三「服は着ていた。安心しろ」

言い残すと、三日月は食堂を去った。見張り、という名目で長谷部も続いた。