【刀剣乱舞】LOVE/LIKE/アイ？【短編集】 (ページ17)

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愛して・お互い様ページ17

翌日。
今日こそ誰にも邪魔されず審神者と二人きりだ。ワクワクで昨夜はあまり寝付けなかったが、バッチリ頭は冴えている。

加「えーとまずは…」

洗い物をしている間に机上の準備だ。紙、各種筆記具などを確認していく。
そこへAが入ってきた。

「ああそうか、今日は加州だったな」

加「前田みたいにはいかないかもだけど、今日は宜しくー」

…

…

沈黙が流れる。

「あっ、すまん。いつもならここで今日の日程を教えて貰うから、つい癖で…」

加「そ、そうなんだ。えっと今日は…あれ」

昨日読み込んできたはずの帳簿の内容が思い出せない。

加「えっ、とご、ごめ」

「前田に貰った帳簿、どこにやった？自分で確認する」

マズい

マズい

マズい

…嫌われた。

ポケットの中の小さなノートを机の上に出し、自らは一歩二歩退いた。

やっぱ俺には向いてない。

「おい、何処に行くつもりだ。まさか初日早々無精か？」

加「だって、俺には向いてないし、主一人で大丈夫でしょ」

「向いていないと判断するには早すぎるだろう。それに、審神者は必ず近侍を一人置く決まりだ。居てくれないと困る」

加「俺じゃなくてもいいって事でしょ。前田呼んでくる」

「なーにぶすくれてる。可愛くないぞ」

ピタリ、と加州の動きが止まった。

加「可愛くない？俺が？」

「朝からずっと。仏頂面で、そのくせずっとそわそわそわそわ。怪しさ満点だったぞ」

キモッ。楽しみ過ぎて行動に漏れてたとか恥ずかしい通り越してもはや首括りたい。
俺が近侍が楽しみで仕方なくてそんな風だったなんて聞いたら、主も引くよな。

「…そんなに近侍が嫌だとは思わなかった。気が回らず申し訳ない」

…は？

「なるべく自分で出来る事は自分でやろうと思っていたが…やはり駄目だな。頼る癖が付いてしまった」

加「ち、ちょっと待った。俺、全然嫌じゃないよ寧ろめちゃくちゃ近侍楽しみにしてて…」

混乱してきた。つまり主は俺の朝の不審な動きを見て嫌がっていると勘違いしたから帳簿を見せるように言ったという事？

俺は俺で邪険にされたと勘違いして、

なんというか、

お互いがお互いに遠慮し過ぎてた？

「「ぷっ」」

気づいた途端、同時に吹き出した。

加「もー心配して損したー」

「何の心配を？」

加「主が俺の事嫌いになったかもって心配。そんな事ある訳ないのにね」

沈黙。
だが直ぐに、

「ああ。私はお前の事を嫌いにならない」

一瞬の無言に引っかかったが、Aの柔らかい表情に加州は顔を綻ばせるのだった。