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AIコトバ ゼロワン 亡 ページ27

亡と目が合うと、Aは再び顔を伏せた。目を逸らしたまま呟くように言う。


 「誰にも言わないでいて」

亡「どうしてですか?」

 「何も問題はないからよ」

亡「……何故そんなことを言うのですか?」

 「今のままで良いの。私に好き嫌いなんてないから」

亡「そんなの……辛くない筈ないじゃないですか。こんなことされて、苦しくて、嫌で堪らないんでしょう?」


Aは何も言わない。こんなときも嫌だ、嫌いだという言葉を使わないつもりだろうか。様子を窺うも、彼女の能面のような表情からは何も読み取れない。本当に感情がないみたいだった。
何とかしてあげたいとは思うが、彼女からのSOSがないと亡には何もできない。それなのにAは頑なに口も心も閉ざしている。八方塞がりだった。
ふと、一つ思い付くことがあった。これまでの彼女との会話。回りくどいやりとり。その全てが繋がり、一つの帰結へ至る。


亡「……どこが痛いですか? これは、感情ではなく、感覚の話です」


好き嫌いはない、感情は本人の匙加減だから。いつもそう言っていた。だが、感覚なら。触覚や視覚などの五感は事実でしかない。その感覚を快・不快などの感情に結び付け、度合いを測るのは本人次第である。ここではただ、痛覚の有無のみを問う。
付け加えて、亡はもう一押しする。


亡「どこが一番痛みますか」


Aとの会話の中で、幾度となく聞いてきた頻度の質問。恐らく数値化するような問い掛けなら、彼女も答えてくれる筈だと見込んでのことだったが、この質問が蛇足になってしまう可能性もある。それこそどこが一番かなんて、本人の匙加減なのだから。
亡の心配は杞憂に終わった。Aは手を震わせて、ぎゅっと胸を抑えた。上目遣いにこちらを見詰める瞳は今にも泣きそうに揺れていた。
胸が、痛む。
亡は、自分の愚かさに打ちひしがれた。彼女に感情がないなんて、何故そんな馬鹿なことを考えてしまったのだろう。殴られて、暴言を吐かれて、傷付いて、それでも逃げられない状況の中で、彼女は感情を持たない、嫌いなこともないが好きなこともない、そんな人間を演じていた。自分の心を守る為に。
亡はAの体を抱き寄せていた。二度と傷付かないように、どこかへ行ってしまわないように、その小さな体を強く抱きしめた。

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鶴葉 - いづみ様の好みにあった設定だったようで嬉しいです! ありがとうございます。 楽しみにお待ちしております! (3月23日 23時) (レス) id: 547353d65f (このIDを非表示/違反報告)
いづみ(プロフ) - 鶴葉さん» 返信ありがとうございます! 好きな感じの設定なのでちょっとニヤニヤしてしまいました。今書いている話が終わったらすぐ書き始めますね! 少々お待ちください。 (3月21日 0時) (レス) id: dd0d1755d5 (このIDを非表示/違反報告)
鶴葉 - それ以降、スタークは主に付きまとわれるようになる。面倒だと思いながらも主の事を始末しようとしない自分自身に苛立つスターク。(感情が無いためこの気持ちがどういうものか分からない。)」 というのはどうでしょうか…? 主は明るくてお転婆な感じだと嬉しいです…! (3月21日 0時) (レス) id: 547353d65f (このIDを非表示/違反報告)
鶴葉 - ご返信、リクエストの受付ありがとうございます! お返事が遅くなり申し訳ございません…! 設定は「自分にとって不要になったスマッシュを倒しただけのスターク。そのスマッシュに襲われていた主は助けてくれたと勘違いして好きになってしまう。→続きます。 (3月21日 0時) (レス) id: 547353d65f (このIDを非表示/違反報告)
いづみ(プロフ) - 鶴葉さん» リクエストありがとうございます!感想もとても嬉しいです!何か設定などにご希望はございますか? (3月17日 23時) (レス) @page22 id: dd0d1755d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いづみ | 作成日時:2023年7月17日 22時

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