口寂しい季節 エグゼイド パラド ページ14
数日後。ガムを噛みながらいつもの如く書類作業をしていると、視線を感じた。何となく予感しながら目を上げると、やはりパラドだった。
「あー、ごめん。今日これだけなんだ」
そう言ってガムのパッケージを彼に見せる。そこには爽快ミント、という文字と共に眠気サッパリ! というフレーズが並んでいた。先日パラドにミントタブレットをあげたところとんでもない表情になったので、これも止めておいた方が良さそうだと思ったのだ。
しかし予想外にもパラドにがっかりする様子はなかった。彼はゴソゴソとポケットの中を弄り、徐に何かを取り出した。
パ「これやるよ」
彼が差し出したのは棒付きキャンディーだった。ぐるぐると渦巻き状になっていて、玩具のような原色が目に痛い。
「ありがと。でも何で?」
パ「いつもお菓子くれるから、そのお礼」
「別にいいのに」
でもありがとね、と微笑むと、つられてパラドもニコッと笑った。バグスターだし身長も高いし、初めは恐怖の対象だったが、話している内に何だか可愛く見えてくるのは身内贔屓もあるのだろうか。
弟かペットみたいだなと思いながら鞄にキャンディーを仕舞おうとすると、パラドがおい、と不機嫌そうな声を上げた。
パ「今食べて欲しい」
でもガム噛んでるし、という言葉はぐっと堪えた。きっと美味しいと言って食べる姿をきちんと確認したいのだろう。それにそんな少し拗ねたような寂しそうな顔をされては嫌とは言えない。
分かった、と言ってAは口の中のガムを元の包み紙に出した。さて、とキャンディーを包装しているビニールを破ろうとしたその時だった。
パ「え"っ……」
玄関でカメムシを見つけた時のような声がした。パラドからだった。先程の可愛い笑顔から一転、引き攣った表情のまま顔を強張らせている。
パ「おま……何してんだよ」
「何って、キャンディーを食べようと」
パ「じゃなくて、口に入ってるもん吐き出してまで食えなんて俺言ってないんだけど」
「え? あ、そっかぁ」
パ「何だよ、食べ物は粗末にしちゃいけないんだろ」
そういえば彼の前でガムを出したことがなかった気がする。考えて見れば一度含んだ食べ物を吐き出すなんて、初めて見たら驚くに決まっている。
「えーとね、ガムは飲み込めないんだよ。だからこうやって紙に出して捨てるの」
パ「そういう食べ物もあるのか」
「そうだねぇ」
適当に相槌を打ってしまったが、吐き出す食べ物といえばフライドチキンの骨くらいしか思い当たらない。が、まぁいいかとその場はそのまま流す。その後は特に何も起こらず、Aはキャンディーを舐めながら仕事を進めた。
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鶴葉 - いづみ様の好みにあった設定だったようで嬉しいです! ありがとうございます。 楽しみにお待ちしております! (3月23日 23時) (レス) id: 547353d65f (このIDを非表示/違反報告)
いづみ(プロフ) - 鶴葉さん» 返信ありがとうございます! 好きな感じの設定なのでちょっとニヤニヤしてしまいました。今書いている話が終わったらすぐ書き始めますね! 少々お待ちください。 (3月21日 0時) (レス) id: dd0d1755d5 (このIDを非表示/違反報告)
鶴葉 - それ以降、スタークは主に付きまとわれるようになる。面倒だと思いながらも主の事を始末しようとしない自分自身に苛立つスターク。(感情が無いためこの気持ちがどういうものか分からない。)」 というのはどうでしょうか…? 主は明るくてお転婆な感じだと嬉しいです…! (3月21日 0時) (レス) id: 547353d65f (このIDを非表示/違反報告)
鶴葉 - ご返信、リクエストの受付ありがとうございます! お返事が遅くなり申し訳ございません…! 設定は「自分にとって不要になったスマッシュを倒しただけのスターク。そのスマッシュに襲われていた主は助けてくれたと勘違いして好きになってしまう。→続きます。 (3月21日 0時) (レス) id: 547353d65f (このIDを非表示/違反報告)
いづみ(プロフ) - 鶴葉さん» リクエストありがとうございます!感想もとても嬉しいです!何か設定などにご希望はございますか? (3月17日 23時) (レス) @page22 id: dd0d1755d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いづみ | 作成日時:2023年7月17日 22時