あなたを食事にできて嬉しいです / Nice to eat you リバイス カゲロウ ページ41
Aは傷だらけの体を引き摺るようにブルーバードの施設内を歩いていた。今日戦った敵は普通の悪魔より格段に強く、仮面ライダーではない彼女には太刀打ちできない相手だった。情けなさに顔も上げられない。ふと目の前に人影が現れた。見上げると、大二のブルーバードの制服が目に入る。彼は心配そうに彼女に駆け寄った。
「大丈夫?」
「また、五十嵐君のフリか」
ぶっきらぼうに言い放つと、彼はぴしりと表情を固くした。
カ「な、んで分かるかなぁ」
「分かりやすいんだよ、お前は」
はぁ、とAは呆れ顔で溜息を吐く。そして、怪我の痛みに口を歪める。
カ「そういうテメェは、また怪我か」
「名誉の傷跡だよ。放って置いて」
カ「また、着れない服が増えちまったなぁ」
「何が言いたい?」
カ「半袖のブラウスも、ひらひらのスカートも、お前が一生袖を通すことはない」
そうだろ? とカゲロウはAの腕を掴み、服の袖を捲った。生々しい怪我の下には、古くなった切傷と、切り過ぎて変色した皮膚がまだらになっている。
カ「買い物に行った日、大二の選んだ服に対して避けている、とか、選ばない、とかまどろっこしい言い方をしたのが妙に気になってな。苦手とか嫌いとかじゃなく。まぁ、似合う似合わないってのもあるだろうが、確かにこの傷じゃあな。それに、切ったのは腕だけじゃないだろ」
「人のことを、分かったように」
Aが睨み付けると、カゲロウは満足気にニヤリと笑った。その顔が見たかったとでも言いたげだった。掴まれたままの腕は強く握られ過ぎて血色が無くなっていた。この中にはAだけでなく彼の付けた傷もいくつかあるはずだ。
後悔がないと言えば嘘になる。だが、あの時はこうでもしないと生きていられなかった。腕から流れる血を見るたび死んだように、吸って吐いて息をしていた。皮膚の移植でもしないと治らない死んだ肌は、あの時生き延びた証だ。
腕を振り解こうと体を捩ると、カゲロウはあっさりAを解放した。意外な展開に驚き顔を上げると、その表情に思わず目を見開く。
カ「俺のいるとこでやれって、言っただろ」
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いづみ(プロフ) - 刻卯さん» 承知しました! (2023年2月28日 15時) (レス) id: c26acdadd4 (このIDを非表示/違反報告)
刻卯(プロフ) - いづみさん» 敵同士なのに好きになっちゃった的な設定でお願いしたいのですが難しいかったら甘めのお話をお願いします。 (2023年2月28日 7時) (レス) id: e20218d379 (このIDを非表示/違反報告)
いづみ(プロフ) - 刻卯さん» コメントありがとうございます!リクエスト了解しました!何かご希望の設定や展開はございませんか? (2023年2月27日 21時) (レス) id: 28595e5e52 (このIDを非表示/違反報告)
刻卯(プロフ) - はじめまして!リクエスト失礼します。ギーツでキューンくんを書けたらで構いませんのでお願いします。 (2023年2月27日 16時) (レス) id: e20218d379 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いづみ | 作成日時:2022年12月2日 22時