彗の小言

絲 ページ18

10万分の1



公開おめでとうございます/









.









.









「おーーーーい」







この点なんだ！
算数 32点って…









天国にいる俺の奥さんへ









頭の方はどうやら俺に似たみたい









.









白濱〇〇




テスト用紙に淡々と書かれたその名前に、どれほどの願いが詰まってるかなんて、当の本人は知らない







はじめて産婦人科で検査を受けに行った日

白濱さん、と呼ばれたことに
彼女がどれだけ喜んだかも






勿論 知るわけが無い









.









.









「ほらー、こんなとこ置いとくと母さんに見られちゃうよ、」


まったくあいつは。
社会科だけが得意科目です！なんて
俺と一緒じゃん



まるで懐かしい手触りの算数のテスト用紙を
いつまで経っても取りに来ない息子の姿に






彼女を重ねては堪らなく不安になった








.








長い春の日

宿った命と引き換えに

彼女は夢を失った








これから先の未来、人生
動く心臓とそれから時間
それさえあれば
それだけで、いいのに






夢は、欲で、願望だった
生きる意味を探した
貴方を愛し続ける意味を見つけた
その夢は叶わなかった




『生きたい』




彼女の欲に応えるために
彼女の一部を含んだ君に







一生愛情を注ぐことを決意したのも







今日みたいな永い春だった









.

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している


←ア

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す