セブルス・スネイプの優雅な雷の日 ページ8
セブルス・スネイプは雷が好きだ。
その日は朝から天気が悪く、セブルスはさっさと庭仕事を終わらせ部屋に引きこもった。
空は落ちてきそうなほど重い雲がのしかかり、あたりは薄暗い。
本を流し読みしながら昼食を摂っていると(下品なのは承知である)、腹に響く低い音が聞こえてきた。
遠雷である。
ゴロゴロ…と雲の隙間から漏れ聞こえる雷神の怒りの声。
セブルスは昼食を片付けた後、書庫へ行って本を見繕った。
そうして窓の小さい部屋のソファへ寝そべり、オットマンへ足を乗せる。
サイドテーブルに数冊の本を置くと、1冊目を開いた。
こういう日は、学術書でも論文でもなく小説の類を読むに限る。
彼のお気に入りは名作と呼ばれるようなもので、本好きの魔法使いなら誰もが知るタイトルを好んで読み漁っていた。
魔法薬に関する学術書は勿論好きだが、たまには違うものが読みたくなる時もある。
そんな時は決まって、雷の日だった。
薄暗く、どこか眠くなるような低い音が時折聞こえる雷の日は、彼にとっては心が落ち着く素敵な日だ。
外には出られないが、一息つくのにもってこい。
雷を嫌う人は多くいるが、どうして皆雷を嫌うのか、彼には不思議でならなかった。
たまに本を腹の上に置き、いつの間にか用意されている紅茶で口を濡らす。
今日は砂糖もミルクも入っていない、ダージリンの新茶だ。
初々しい芳香が腹に落ちていく。
遠くからは雷の音、段々とまぶたが重くなってきた。
セブルスは本に栞を挟んで、目を瞑った。
遠雷の音は、赤子が母親の胎の中で聞いていた音に似ているという。
セブルスは雷の日によく昼寝をするが、…雷の日は、何故かよく眠れるのだ。
彼にとって母親は浅ましく卑しいものだったが、どうしてか、雷の日はよく眠れるのだった。
終わり
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アキラ(プロフ) - からあげさんさん» ありがとうございます。優雅ってなんぞや(哲学)みたいな感じになることも多いですが、頑張ります！楽しくインドアしてるスネイプ先生をこれからもよろしくお願いします。 (2020年6月7日 2時) (
レス) id: 0238ad12fe (このIDを非表示/違反報告)
からあげさん(プロフ) - スネイプ教授の優雅なひとときを想像してニヤニヤしてしまいます…！素敵な日常をこの小説の中では送っていてとても嬉しいです更新楽しみにしております (2020年6月7日 2時) (レス) id: ea4b011c8f (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 舞咲優陽さん» ありがとうございます。私自身優雅な生活とは程遠いので亀更新ですが、どうにか貴族的でオシャンなスローライフを送って貰ってます。これからも頑張って書きます。 (2020年3月10日 14時) (レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
舞咲優陽 - スネイプ教授には幸せになってもらいたいので、こういう世界があってもいいんじゃないかと思います。私も書きたいですが、語彙力がない。感動です！ありがとうございます！ (2020年3月10日 12時) (レス) id: d2ba224748 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - レナータMRさん» ありがとうございます。原作でも映画でも不穏で可哀想なシーンが多かったので、とにかく優雅で平和で静かな生活を送らせたいと思い書きました。不穏で可哀想なのが彼が愛される理由でもありますが、せめて私たちの見ていないところでは楽しく過ごしていて欲しいです。 (2020年2月23日 23時) (レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アキラ | 作成日時：2019年11月25日 22時
