亀裂 ページ49
今年も終わりがやってきた。
ダームストラングとボーバトンを見送った私たちは汽車に乗り、それぞれの家へ向かう。
いろんなことが起こりすぎて、皆疲れ果てて沈んでいた。
コンパートメントを探していたら、ドラコが手招きをしているのが見えた。
「来いよ、ここが空いている」
「…ありがとう」
ここのところ、ドラコは少し近づきがたい雰囲気だった。
どことなく目をギラギラと輝かせ、意味ありげな笑みを浮かべる。
学校中が悲しみに満ちている中、勝ち誇ったような顔だ。
理由は、わかってはいるが、…私は、気付かないふりをしていた。
「暇だなぁ、ポッターでもからかいに行くか」
時折チラチラと私の表情を伺っていたドラコは、唐突に立ち上がって宣言した。
私がだんまりを決め込んでいるので、飽きたのだろうか。
私にも来いと言うので、ついていく。
…彼が私の考えを探る理由も、わかっている。
だが私は、気付かないふりをしていた。
ハリーたち3人のコンパートメントに乗り込んだドラコは、3人を見回して言い放った。
「考えないようにすればいいってわけかい？」
やめて。
もうやめて。
「なんにも起こらなかった。そういうふりをするわけかい？」
お願いだから、あなただけは。
「君は負け組を選んだんだ、ポッター！言ったはずだぞ！友達は慎重に選んだ方がいいと、僕が言ったはずだ。
憶えてるか？ホグワーツに来る最初の日に、列車の中で出会った時のことを？
間違ったのとは付き合わないことだって、そう言ったはずだ！」
雲間に覗く、雷霆のように。
激しい光を放つ彼の瞳が物語るのは、確かな亀裂。
ヴォルデモートが戻ったということは、かつて死喰い人だった彼の父親が死喰い人に戻るということ。
即ち、ドラコ・マルフォイがハリーのライバルではなく…我々の”敵”になるということ。
お願いだ、あなただけは、私と道を違えないで。
「君もだぞ、A！」
にや、と笑って振り返る彼の顔は、まるで悪魔のようだった。
「君もそうだ。君だって、勝ち組になりたければ僕のものになれ」
口を弧に歪ませ、ねっとりと絡みつく視線を私に向けるドラコ。
彼の冷たい手が、氷のように冷えきった私の手を捕まえた。
「君は僕のものだ、そうすれば、これからもきっと幸せになれるだろう」
そこにあるのは、醜い執着と狂人的な恋慕。
少し前までは喉から手が出るほど欲していたそれは、気持ちが悪くて仕方がなかった。
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アキラ(プロフ) - でぃあさん» そう言って頂きとても嬉しいです、ありがとうございます！出来る限り毎日投稿頑張ってます、楽しんで頂けたら幸いです。 (2020年5月10日 2時) (
レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
でぃあ(プロフ) - コメント失礼致します！今まで読んだドラコの小説の中で1番好きです、、。大変だとは思いますが、更新心待ちにしております！！ (2020年5月10日 1時) (レス) id: 9634e00201 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - ライキさん» ありがとうございます。炎のゴブレットは好きな巻なので、原作に泥を塗らないように頑張ります (2020年4月19日 1時) (レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
ライキ(プロフ) - すっごく面白いです！頑張ってください！ (2020年4月18日 18時) (レス) id: 6dfa20d2dd (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 黒猫王さん» ありがとうございます！これからもよろしくお願い致します。 (2020年4月13日 17時) (レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アキラ | 作成日時：2020年4月13日 1時
