水の底 ページ42
夢を見た。
かぷり、と口から泡を吐き出し、ぼうっと光を見つめる。
ゆらゆらと揺れる光は次第に遠ざかり、鉛のように重い体は水の底へと沈んでゆく。
手を伸ばしても、届かない。
視界の端から滲むように迫り来る闇を、受け入れるしかなかった。
はっ、と目を覚ますと、私は汗だくだった。
心臓がドッドッと早鐘を打っている。
嫌な夢だ、今日は第2の課題…ハリーが湖へ潜る日だというのに。
ドラコのはからいで、私は最後までハリーに手を貸すことはなかった。
罪悪感はあるが、あちらにはハーマイオニーがいるのだから大丈夫だろう。
朝食へ降りていくと、ハリーもロンも、ハーマイオニーもいなかった。
不思議に思ってどうしようか考えていると、ドラコがやって来た。
「おはよう。どうした？浮かない顔をして」
「おはようドラコ、ハリーたちが見当たらないのよ…どうしちゃったのかしら」
「早めに湖へ向かったとかじゃないのか、心配する事はないだろう。朝食にしよう」
「そうね…」
嫌な夢を見てお腹がすいていたので、トーストに山ほどスクランブルエッグやウインナーを乗せて食べた。
バターで焼いたトマトやマッシュルームも溢れんばかりに山盛りにして、かぶりつく。
サラダも大皿の半分くらいをわしっと取り分けると、それを見ていたドラコがあんぐりと口を開けた。
「君は朝からよく食べるなぁ、…それに美味しそうに食べるな。羨ましいくらいだ」
「ん…だって美味しいもの」
卵から漂うバターの香りが鼻腔をくすぐるのや、ウインナーから肉汁が滴る様子。
トマトがじゅわっと甘酸っぱく崩れること、マッシュルームがコリュコリュと歯の間で踊るさま。
どれもこれも楽しくて美味しくて、一体どうしたら食事を不味く摂れるのだろうか。
仕上げに生姜入りのチョコレートケーキを食べて、食後のお茶で腹を落ち着ける。
彼は呆れたような感動したような顔をして、自分もお茶を飲んだ。
「さて、ポッターはどう水の中で1時間過ごすのかな。見ものだ」
「そうねぇ…誰も怪我したりしなきゃいいんだけど」
人の流れに乗って、湖畔へ作られた競技場へ移動する。
湖面に突き出すように桟橋のようなものが架けられ、3人の代表選手が待機していた。
オペラグラスを取り出して見ると、ハリーだけがいない。
「あら…？ハリーがいないわ」
「なんだって？…ははっ、とうとう逃げたか」
ドラコは鼻で笑うが、私は言い知れぬ不安を覚えた。
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アキラ(プロフ) - でぃあさん» そう言って頂きとても嬉しいです、ありがとうございます！出来る限り毎日投稿頑張ってます、楽しんで頂けたら幸いです。 (2020年5月10日 2時) (
レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
でぃあ(プロフ) - コメント失礼致します！今まで読んだドラコの小説の中で1番好きです、、。大変だとは思いますが、更新心待ちにしております！！ (2020年5月10日 1時) (レス) id: 9634e00201 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - ライキさん» ありがとうございます。炎のゴブレットは好きな巻なので、原作に泥を塗らないように頑張ります (2020年4月19日 1時) (レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
ライキ(プロフ) - すっごく面白いです！頑張ってください！ (2020年4月18日 18時) (レス) id: 6dfa20d2dd (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 黒猫王さん» ありがとうございます！これからもよろしくお願い致します。 (2020年4月13日 17時) (レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アキラ | 作成日時：2020年4月13日 1時
