ふたりの時間3 ページ40
「ああ寒い寒い！はやく三本の箒へ行ってあたたまりましょ」
手を擦りながら足早に三本の箒へ向かうと、皆同じことを考えていたようで、超満員だった。
バタービールを2つ頼んで席を探すと、有難いことにちょうど数人客がどいた。
「よかった、ここにしましょう」
「…そうだな」
一拍遅れたドラコの返事を訝しんで振り向くと、視線の先にハリーたち3人が座っていた。
ふん、と鼻を鳴らした彼は、手袋を外してマフラーを弛める。
そうしてジョッキを手にしてから、私が見つめているのに気がついた。
「なんだ？」
「いや…そういえばあなた、最近随分と大人しくなったわよね」
ハリーに突っかかることもないし、マグル生まれの生徒をいじめることもない。
いつだったかマクゴナガル先生が私のところへやって来て、「あなたと深く関わるようになってからミスター・マルフォイはだいぶ丸くなりました。このまま手綱を握っておいてくださいね」とか言い放った。
私が手綱を握らずとも、ドラコが丸くなったのは彼自身による変化だと思うのだが…。
だって私は、何もしていない。
彼が馬鹿をやるたびに苦言を呈してはきたが、何度言っても行いを改めることはしなかったのだから。
「君が、嫌がると思ってな。僕たちもこういう仲になったし、気遣うのは当然のことだ」
「…最初からそうして欲しかったわね」
「無茶を言わないでくれ…」
寒さで赤くなった彼の手を弄ぼうとすると、きゅっと捕らわれた。
指を絡ませ、手のひらが合わさる。
目を上げると、何かを求めるような視線がまとわりついてくる。
「今の僕は、君のためだけに存在しているようなものだ」
「大袈裟よ…」
でも、本当は私だって。
周りの口さがない生徒たちに噂されるのは嫌だし、目立ちたくもないからつれない返事をするけれども。
いつだって視界のどこかにドラコがいないか、つい探してしまうのだ。
こうして手が重なるだけでは物足りなくて、苦しいくらい強く抱きしめて欲しいし、
…あなたを知るのが私だけなように、私を知るのはあなただけであって欲しい。
「そんなに大袈裟か？君の目はそんなこと言ってないけどな」
「なんでもお見通しなのね。完敗だわ」
肩を竦めて笑うと、唐突にぐいっと手を引かれた。
「…っん、」
ひどく甘く、そして忍びやかに唇が重なった。
さらりと彼の髪が揺れ、怪しい光の揺れる曇天の瞳が垣間見える。
あまりに静かなキスは、誰にも気づかれることはなかった。
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アキラ(プロフ) - でぃあさん» そう言って頂きとても嬉しいです、ありがとうございます！出来る限り毎日投稿頑張ってます、楽しんで頂けたら幸いです。 (2020年5月10日 2時) (
レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
でぃあ(プロフ) - コメント失礼致します！今まで読んだドラコの小説の中で1番好きです、、。大変だとは思いますが、更新心待ちにしております！！ (2020年5月10日 1時) (レス) id: 9634e00201 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - ライキさん» ありがとうございます。炎のゴブレットは好きな巻なので、原作に泥を塗らないように頑張ります (2020年4月19日 1時) (レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
ライキ(プロフ) - すっごく面白いです！頑張ってください！ (2020年4月18日 18時) (レス) id: 6dfa20d2dd (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 黒猫王さん» ありがとうございます！これからもよろしくお願い致します。 (2020年4月13日 17時) (レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アキラ | 作成日時：2020年4月13日 1時
