私だけの王子様 ページ34
会場に足を踏み入れた途端、空気が変わるのを感じた。
コツ、コツ、と歩を進めるたび、周りの視線が私に集まり、通り過ぎた後にはざわめきだけが残る。
さあ、私の美しさに恐れ慄け。
今日という日のための私の努力に刮目せよ。
所詮皆付け焼き刃のダンスだから、私の足元にも及ばない。
あの男を身惚れさせることが出来るのは、私だけだ。
ドレスの重みを感じさせない軽やかな足取り。
誰よりも豪奢で高貴な装い。
ホグワーツで一、二を争う見目の麗しさ。
今私は、誰よりも美しい。
タイミングよく、ドラコが現れた。
瞬間私たちの周りの人垣は円を描くように割れ、その中心でドラコが頭をたれた。
「レディ、どうぞ僕の手をお取りください」
差し出した手は、一分の隙もなく美しい。
「ええ、喜んで」
ゆったりと微笑めば、周囲の目は私に釘付けになった。
ドラコは私とは反対に随分シンプルな…よく言えば無難で、悪く言えば地味な装いをしていた。
詰襟のしなやかな線が美しい真っ黒いローブ…しかし、1番よく彼を魅せているなと感心した。
照明に照らされるプラチナブロンドや、貴族らしい優雅な身のこなしを邪魔せず引き立たせている。
流石だと思った。
「そのパリュール、よく似合っている。…君に付けて欲しくて作らせたんだ」
「本当に、こんな良いものをいただいてしまって…ありがとう、とても素敵よ」
礼を言うと、はにかむように微笑む。
…そんな甘い表情、初めて見た。
代表選手でもないのに、私たちは広間のど真ん中で踊っていた。
周りで踊るカップルは、私たちが近づくたびにさっと避けて間を取る。
そして、少し離れてからほうっとため息をついて見つめるのだ。
先生方ですら楽しそうに私たちを眺め、あのフラー・デラクールが少し目を見張ったのを私は見た。
いい気味だ。
ハーマイオニーはと言えば、きちんとクラムにエスコートされている。
ダンスの最中にすれ違ったので笑いかけると、心の底から楽しそうな笑みが返ってきた。
一時はどうなるかと思ったが、ひとまずは安心だ。
ドラコは楽しそうに私を連れ、くるくると踊り回る。
私も常になく心地よく、そして穏やかに合わせていた。
ダンスのホールドで必然的にゼロ距離となり、この胸の高鳴りが聞こえてしまいそうで面映ゆい。
まるで夢でも見ているかのような心地でドラコを見上げると、彼もまた眩しいくらい微笑んだ。
ああ、楽しい。
まるで夢のようだ。
いつまでも、この時間が続けばいいのに。
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アキラ(プロフ) - でぃあさん» そう言って頂きとても嬉しいです、ありがとうございます！出来る限り毎日投稿頑張ってます、楽しんで頂けたら幸いです。 (2020年5月10日 2時) (
レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
でぃあ(プロフ) - コメント失礼致します！今まで読んだドラコの小説の中で1番好きです、、。大変だとは思いますが、更新心待ちにしております！！ (2020年5月10日 1時) (レス) id: 9634e00201 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - ライキさん» ありがとうございます。炎のゴブレットは好きな巻なので、原作に泥を塗らないように頑張ります (2020年4月19日 1時) (レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
ライキ(プロフ) - すっごく面白いです！頑張ってください！ (2020年4月18日 18時) (レス) id: 6dfa20d2dd (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 黒猫王さん» ありがとうございます！これからもよろしくお願い致します。 (2020年4月13日 17時) (レス) id: bba48d4b5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アキラ | 作成日時：2020年4月13日 1時
