検索窓
今日:25 hit、昨日:5 hit、合計:6,329 hit

ページ19

.


「そ、そういうことは……あまり、ぽんぽん言うものじゃないだろう……」


夕焼けのせいとはとても言い切れない顔色をした司が、片手で口元を隠しながら何やらごにょごにょと言っていた。

思いもよらなかった反応に、自分の中のナニカが嫌な音を立てる。待て待てそこは開けてはいけない扉だろうと、必死に抑え込む。


「え、えぇと……もしかして、照れてます?」
「…………照れてない」
「照れてるでしょ」
「照れてない!!」


ああだめかも、もう無理かも、扉開いちゃうかも。

抵抗虚しく、ぱっかーーーんと観音開きで開け放たれたその扉から。


「意外とカワイイとこあんじゃんお前ーーーーー!!!!」
「うおっ」


――母性本能というヤツが大股で歩くように溢れ出てきた。

体を伸ばしてわしゃわしゃと司の頭をかき混ぜた。きちんと手入れされてるのかふわふわのサラサラで、それが余計に油をそそぐ。


「なんだお前、いつも『オレを見ろ』とか言ってるくせに〜〜!」
「ッ! ちょ、おい、やめ」
「なのに褒められたら照れちゃうんだ〜〜? 司ったら初心だねぇ〜!」
「ほんとにやめろ、離せ、っうしろ!!」
「え? 後ろ??」
「随分堂々とイチャついてるねぇ、ここ一応教室だよ?」
「………………ア、カ、カミシロサン……ゴキゲンヨウ」
「ふふ、うん、ご機嫌よう。邪魔しちゃったかな?」


ニヨニヨと笑う神代がいつの間にか背後に立っていて。司が妙に抵抗していた理由がわかった。

慌てて体を元に位置に戻すが、どう考えてももう遅い。見られてしまった。サアアア、と血の気が引く。

混乱した脳みそが導き出した行動は単純明快。右の手をこれでもかというほど握りしめて。

か、か、かくなる上は。


「いやあ意外だねぇ、君達そういう趣味が」
「――お前を殺して俺も死ぬッ!!!」
「おっと」


神代の側頭部目掛けて飛んでいった拳はいとも容易く避けられてしまった。


「お前何してるんだ!?」
「今ので記憶を消し飛ばすつもりだったのに!!」
「残念だけど僕はまだ死ぬわけにはいかないからねぇ」
「か、神代が無理ならッ、俺だけでも……ッ!!」
「だから落ち着け」


自分より慌てた人間がいると逆に冷静になると言うが、恐らく司は今その状態なのだろう。

なんでだよお前も焦れよ!!


「というか前まで気になっていたのだけれど、僕だけまだ苗字呼びだよね」
「今そこ気にするところじゃないよな???」
「悲しいなあ、僕だけ仲間外れかい?」
「だから今じゃ」
「あ、もしもし寧々? 今ちょうど面白いものを見たんだけどね」
「類! 類!! それだけはやめろ!!!」

演目『王様☆おーだー!』→←演目『勉学☆あふたぬーん!』



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (23 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
55人がお気に入り
設定タグ:プロセカ , 天馬司
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:詩声 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年7月1日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。