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それまでとは一変、何だか柔らかな声色で放たれたその言葉に気を引かれる。えぇ、なにそれ気になる。
「……ちょっと。あんた達ここでイチャつかないでくれる？」
「司くんAちゃん、おはよーわんだほーい！」
「朝からラブラブだねぇ」
『違う！！』
「おや、息ぴったり」
ひょい、と舞台袖の方で三人が団子のように連なって頭を覗かせていた。また別の方向で茶化されて思わず大声を出す。後の二人、いつの間に来てたんだ？
おかしそうに笑いながらごめんごめん、と心の全くこもってない謝罪を受けて後で一発殴ってやろうと心に決めた。
「あー、全員揃ったようなので、最後に一度通しで練習するか。その後は個人練としよう」
「了解。……っけほ」
「あれ、寧々ちゃん、どうしたの？ 風邪引いちゃった？」
「違うって。もう、みんな心配しすぎ」
全てをなかったことにした天馬と、相変わらず花粉症が酷い寧々。底知れない笑みで佇む神代に、寧々の周りを周るえむ。
はちゃめちゃな会話を残して、最後のリハーサルが始まるのだった。
☆
光り輝くステージの上。声を大きく張って演技をする役者達を注視する。それは観客も同じだ。全員がステージを食い入るように見つめている。
『お兄様目を覚まして！』
いつぞやに俺が観たあの演目だ。
朗らかな王様が突然豹変し国で音楽が禁止される。それを止めようと彼の妹やその親友が駆け回る王道ストーリー。
物語がクライマックスに近づき、王女の親友役を担っている寧々をスポットライトで照らす。
『王よ。思い出してください、音楽の素晴らしさを、歌うことの楽しさを』
寧々が小さく息を吸い込んだ。身構える。
あの時から変わらない、優しい歌声。ライトを握る手が震えそうになるのを気合と根性で抑え込む。
『――っ……、――！！』
一瞬、寧々の声が詰まる。彼女の表情が一瞬悔しげに歪んだのを俺は見逃さなかった。
素早く目線を客席に走らせる。幸い観客は誰も気付いていないようだ。
――寧々、花粉症って言ってたけどありゃ嘘だな。
『おお……そうだ、そうであったな。音楽は……歌は、こんなにも美しい。それを忘れ、表面的な事実に囚われた我は、なんと愚かだったことか』
王と王女が手を取り合い、それを親友と側近が見守る。
「こうして、王様は音楽の楽しさを思い出し、国はまた、その領土に音を取り戻すのでした」
拡声器を通して締めのセリフを言う。ナレーションも請け負ってちゃ、そら忙しくなるわな。
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ありに(プロフ) - 5年ぶりに夢小説を漁ってたらとんでもない神作品に出会ってしまった…応援してます☺️ (2023年3月10日 19時) (
レス) id: 1064f8688a (このIDを非表示/違反報告)
ただのせかおた - 最初の注意事項とか舞台挨拶（？）みたいな感じで書いてるのめっちゃ素敵です！！お体には気をつけてこれからも頑張ってください💍応援してます！！ (2023年1月21日 23時) (レス) id: 5310fc155c (このIDを非表示/違反報告)
kubota6(プロフ) - この作品めちゃ好きです！応援してます！ (2023年1月10日 23時) (レス) @page17 id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
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