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ええいうるさい、黙ってろ。ただの気休めに惑わされるな、A。今までアイツらにされた所業を思い出せ!
「待ってくれ!」
「だから、……ッ」
がし、と肩を掴まれて、しつこい、と一蹴しようとした。できなかった。足から根が生えてしまったかのようにそこから一歩の動けない。
――目の前に、輝く一等星がいた。
「オレには……オレたちの作るショーには!」
それは酷い既視感だった。何処か遠い昔に全く同じこと体験した気がしてならない。
「お前が必要なんだ!!」
一等星は手を伸ばした。キラキラとした輝きに目が潰れてしまいそう。ここで手を取らなければ一生後悔すると頭の中で誰かが言っていた。
うるさい、誰がなんと言おうと俺はもう、歌えない。
でも、ショーには出れるでしょ。
それはそうだけど、だけど……ショーに出ればいつかは歌わないといけない日がくるだろ。
天馬は人に無理強いするような性格をしていない。
そんな保証はない!
じゃ、帰るか?
……ここから去る理由を探す時点で、もう俺の負けだ。
「……しょうがねぇなぁ」
「っ!」
「ま、そこまで言うんだったら? 協力してやらんことも? ないけど??」
そう、仕方ないことだ、これは。
このまま断るのが面倒で、天馬の顔を立ててやる為で、早く家に帰りたくて。
決して、この天馬司という
「〜〜〜〜〜っほんとに!? これから一緒にショー、やってくれるのっ!?」
「わかったから一回落ち着けって」
「ほんとのほんとに!?!? 約束だよっ!!?」
「痛゛っ、約束だから飛びつくな……」
また元気よく突進してきたピンク女こと、鳳えむを宥める。なにやら期待のこもった眼差し。
ぎこちなく、宙に浮いていた両手をえむの背中に回すと、ぱぁっと目を輝かせてより一層強く俺を抱きしめた。可愛い、けど、すっげぇ痛い。
「また演出の幅が広がったねぇ……ああ、楽しみだなぁ、ふふふ……!!!」
「類……顔、怖いぞ」
「おっと、これは失礼」
その発言に、背筋が震える。なんとなく神代が変人ワンツーと天馬とセットになっている理由がわかった。
改めて全員に向き直る。
「あー、えっと、そのなんだ。そういうことで、うん、」
「何緊張してるの。もう仲間なんだからシャキッとしなさいよ」
寧々が呆れた顔で指摘する。言葉の端々に棘を感じるが、仲間と確かに、そう言った。
頬が緩むのを感じる。
「ふつつか者ですが、これからよろしくお願いします」
それは、陽が傾き、空に茜が差し始めた頃の話だ。
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ありに(プロフ) - 5年ぶりに夢小説を漁ってたらとんでもない神作品に出会ってしまった…応援してます☺️ (2023年3月10日 19時) (レス) id: 1064f8688a (このIDを非表示/違反報告)
ただのせかおた - 最初の注意事項とか舞台挨拶(?)みたいな感じで書いてるのめっちゃ素敵です!!お体には気をつけてこれからも頑張ってください💍応援してます!! (2023年1月21日 23時) (レス) id: 5310fc155c (このIDを非表示/違反報告)
kubota6(プロフ) - この作品めちゃ好きです!応援してます! (2023年1月10日 23時) (レス) @page17 id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
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