��-8*「まだ離れたくない…、」 ページ19
結局、1度も目覚める事なく朝までぐっすりコースだった。
目が覚めて、スマホの画面を点けると…9:45。
「朝っつーかお昼やんけ、」
っていうか風磨くんにがっちりホールドされてて自由がきかないんですけど…
「風磨くん、離してよ〜〜、」
『んあ？』
起きたばかりで完全に寝ぼけている風磨くんの腕を何とか振りほどき、スリッパを履いて窓辺へと向かう。
窓枠の重たい覆いを開けて外の様子を伺えば、昨夜とはうって変わって、晴れやかな青空が綺麗ないいお天気。
びしょ濡れだったコートも靴も、すっかり乾いていてほっと一安心。これでやっと帰れるね？
なんて思っていたその時、フロントからのけたたましい内線のコール音が静かな部屋に鳴り響いて。
『はい、』
＼チェックアウト10分前です／
不機嫌そうに頭上の受話器を取った風磨くんは、自動音声を聞いてガチャリと受話器を戻した。
『10分前』
「急がなきゃ、！」
とりあえず顔を洗って歯を磨いて着替えて、身支度を整える。
風磨くんも私の後に続いて、焦って支度をしていた。
『よし、出ようか。忘れ物ない？』
ドアノブに手をかけた風磨くんが振り返ったその時、
「まだ離れたくない…、」
気付けばそんなことを言いながら思わず風磨くんの胸にしがみついてしまっていた。
自分で自分の行動にびびる。
え、私………今何した？
『え、A？』
風磨くんはすごくびっくりした顔で、目をパチパチさせて。
「あっごめ、なんか寝ぼけてたみたい(笑)帰ろ『ん、どっかオシャンな朝飯でも食いに行くか』
「帰ろう」、と言おうとしたら風磨くんに遮られ、今までに見たことないくらいの優しい顔で私を見下ろしながら、くしゃっと頭を撫でられた。
チェックアウトと精算を済ませ、近辺で朝からやってる映えそうなカフェを検索で見つけて入店する。
「Aエッグベネディクトにする！」
『じゃー俺も同じのにしよ。』
「飲み物何か頼む？」
『ホットココアがいいなあ』
「じゃーAもそうする〜」
なんて、わちゃわちゃしながらメニューを決めて。
この他愛もない時間が、何だかどうしようもなく幸せで…ずっと続けば良いのに、なんて馬鹿みたいな事を思ってる自分が居る。
「きたー！おいしそう！」
『おー、これは映えだね〜〜』
料理が運ばれてきて、パシャッと2人して写真を撮った後
私は口いっぱいにエッグベネディクトを頬張る。
『おいしい？』
「めちゃくちゃおいしー♡」
『ふは、口の周りベットベト(笑)』
��-9*『え？何か言った？』→←��-7*「ふ…、うまく、ん…」
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作者名：かるめら | 作成日時：2020年5月28日 12時
