愛してあいしてアイシテ《ar×ym》

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有岡side
今日も山田の家に行く。
「二度と目の前に現れるな」なんて言われても無理なものは仕方がない。
どれだけ罵られようが
嫌われようが
俺は山田を救いたい。

そんな気持ちも儚く、どれだけ呼び鈴を押しても山田は出てこない。

毎日毎日行っても山田が出てくることなんて1回もなかった。

山田の家に行くのが日常になった頃。

いつものように呼び鈴を鳴らしたら、出てきたのは山田でもなく、伊野尾でもなく、向かいの家の人。

「あの、あなた毎日来てるわよね。」

『あ、はい！』

「そこの男の子、1週間ぐらい前に救急車で運ばれて、今入院してるみたいよ。」

『え！それ本当ですか！？どこの病院ですか？』

「うーん。確か〇〇病院だったと思うわよ。」

俺は大きな声でありがとうございます！と言って走り出した。


そんな…入院してたなんて。

なんで俺気づかなかったんだよ。




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病院で面会の申し出を書いて、小走りで病室へと向かった。

ガラッと扉を開けるとそこには、美しい顔で寝ている山田の姿。
色んなチューブに繋がせられていて、酸素マスクまでしている。


『山田』

そう優しく声をかけても起きる気配はない。


医者に聞いた所、学校に向かう道で倒れているのが見つかって、救急車で運ばれたらしい。
今は意識不明。
いつ命を落としてもおかしくない状況。


山田の頭をそっと撫でると、まぶたが少し動いた…気がした。

いつ命を落とすか分からない。なーんて、今もピンと来ない。
もしかしたら明日、山田に会えない可能性だってあるんだ。

そしたらもういっそ

今のうちに





俺はそっと山田に口付けた。



…つくづく俺は最低な男だ。
起きないことをいいことに。


このままじゃ伊野尾と同じじゃないか。









『ごめんな。』






そう呟いた言葉は、山田の心拍数を表す機械によってかき消される。


俺は届かない言葉の代わりに山田の額に涙を落とした。

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