SPF13 ページ14
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「Aちゃん、なんかあった?なんでこんなとこに」
ほとんど関わりのないクラスメイトに対して親切にできるクムジュンヒョンはすごいと思う。
「………私の負けだ、クムジュンヒョン」
何を言っているか分からない、というようにクムジュンヒョンの顔が歪む。
「私、あのドッキリに、引っかかっちゃった。…ドッキリって、ちゃん、と、分かってたのに」
途中で声が震えて、上手く話せなかった分の言葉が涙になって溢れ出し、頬を走った。
「ドッキリって、え?なに、どういうこと」
「パク…ゴヌクに、引っかかっちゃった」
高校生なのに声を上げて泣いている私を、彼はどう思っているんだろう。
何も言わずにハンカチを差し出してくれたから、私よりも女子力が高いじゃないかと思いながら、ありがたくそれを受け取った。
次から次に生まれる粒を、布地で食い止める。
「………落ち着いた?」
「待って、すごい恥ずかしい。ごめんね、なんか止まんなくなっちゃった」
少し時間が経てばずいぶん冷静になって、先程の自分の醜態が恥ずかしくてたまらない。
こんなことなら汗だくで焼き鳥を売る姿を見せる方が全然ましだ。
「なにを悩んであんなに泣いてたのかよく分かんないけど。辛かったんだね」
「………冷静に考えたら、クムジュンヒョン、あんたも加害者じゃん」
使用済みのハンカチを突き返して、言う。
危ない、クムジュンヒョンをすごく優しいやつだと思いかけてしまった。さっとハンカチが出てくる女子力の高さを尊敬しかけてしまった。
元はと言えば、クムジュンヒョンもパクゴヌクとグルなのだ。なんて悪質ないたずらをするやつなんだろう。
私を騙して手に入れるジャンプの新刊は、面白いか?
さっきまで泣いていた心に暗雲がたちこめる。
文句を言ってやる準備ができたのに、クムジュンヒョンの方が先に口を開いた。
「ま、こういうのはさ。ちゃんと当事者同士で話し合った方がいいよ。これで、呼び出しちゃった日のお詫びはできたかな」
なんの話だろう。お詫び、と言っただろうか。
クムジュンヒョンが腰を上げた。
「もう花火上がるよ」
彼がそう言い終わると、タイミングを合わせたみたいに明るい閃光が弾けた。
ピュウ、と間の抜けた音がして光が空に昇り、花開く。
その一投に見とれた間に彼はどこかに行ってしまっていて。
「なんで、ここに…」
代わりに、肩で呼吸をするパクゴヌクが、いた。
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ゆづき(プロフ) - メロメロドスコイマンさん» ああぁ実はすごく大好きで何度も作品読ませていただいてました、、!😳他でもないメロメロドスコイマンさんにコメントまでいただけて嬉し恥ずかしという感じでどうしていいかわかりません( ; ; )笑 ありがとうございます、大好きです💝 (4月8日 21時) (レス) id: bfb37b3d55 (このIDを非表示/違反報告)
メロメロドスコイマン(プロフ) - コメント失礼致します。本当に天才すぎて何度も何度も味わって読み返してます。ゆづきさんの書く作品全てが素敵で、こんな宝物みたいな日々を送ってみたかったな〜〜といつも思います。お体に気をつけてこれからも活動してください🫶 (3月27日 2時) (レス) id: 1a4bf9bdf9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき(プロフ) - のあさん» ぎゃーー、嬉しすぎます❤️🔥☺️💘ゴヌクってどうしてこんなに沼なんでしょう、、?怖いですよね、、👉🏻👈🏻 (9月27日 20時) (レス) id: bfb37b3d55 (このIDを非表示/違反報告)
のあ - ジュンヒョンのネタ使うのは天才です✨それにゴヌクがほんと…沼! (8月16日 16時) (レス) @page17 id: 034e6a45ed (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき(プロフ) - はなぴーさん» なああんて嬉しいお言葉😭ありがとうございます、、!嬉しすぎます〜✨️ (7月12日 11時) (レス) id: bfb37b3d55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆづき | 作成日時:2023年6月6日 17時