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チラッと素早く腕時計を確認すると、
(あ、最初のやつそろそろやん)
一気に駆け抜け、上の、開いていた窓から外に飛び出した。
窓から見えていた大木に掴まり、枝をスルスルと伝って地面に降りた瞬間。
ズガァアアァアァァァアアン！！！
激しい熱と音と共に、付近の倉庫が次々と爆破した。
「やっぱ火薬の匂いはええなぁｗｗ
最高やわｗｗ」
満足そうに眺めると、後ろ手にある森の方向へ駆け出しながら、総統への報告の為に耳元へと手を伸ばした。
物資への奇襲作戦は大成功やｗ
【チーノ視点】
「君、この人に消毒しとって！
そっちの人は縫わなあかんから、向こうの部屋に運んどって！
この人終わったらすぐ向かう！」
次々と運び込まれる人、人、人・・・
採掘場からそんなに離れていない位置にある小さい病院では、あっという間に怪我人で溢れかえり、外のいくつもある仮設テントにも入りきらないまでになっていた。
いや、ここに運ばれるだけまだいいのだ。
戦火のど真ん中では、逃げることも出来ずに助けをただ待つしかない人も大勢いるし、瓦礫の下に生き埋めになっている奴らもいる。
・・・生身で帰ってくることが出来ずに、暗い、冷たい部屋に運ばれる人も大勢いる。
ギリッと唇を噛んだ。
いつも、この瞬間はたまらなく歯がゆい。
食料も、水も、包帯も、薬もテープもガーゼも縫合手術の設備もここには十分揃っているのに、人手だけが足りない。
医師も看護師も何人も連れてはきているのに、負傷者の数がそれを上回る。
いつも、この瞬間に思ってしまう。
不殺主義とは、なんの意味があるのだろう。と、あの日たてた誓いが揺らぐ。
そのすぐ後で、我に返る。
大怪我をしている人も、帰ってこれなかった人も、今も戦い続けている人も国民も。
不殺を掲げる総統に、付いてきた者ばかりだ。
幹部の自分が信じられずにどうするのだ、と。
戦場で剣を振ることも、銃で正確に打つこともできないけど、帰ってくることが出来た人たちの痛みや苦しみを和らげることはできる。
ここが僕の戦場や。
「みなさん・・・はよ終わらせて下さいよ」
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作者名：スノウ | 作成日時：2020年4月2日 3時
