【d!】忠誠心故に【軍パロ】 (ページ10)

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行き先もわからないままトントンについていく。すると、彼はある扉の前にとまり、コンコン、と軽快な音を鳴らした。

「はいはーい！」

ノックされた扉の奥から元気な声が返ってくる。返事とともに、部屋の中からドタドタと忙しく動き回る音や、大きな物を落としたような鈍い音が次々と聞こえてくる。しまいには、悲鳴のような大声が廊下にも響く。

「ホンマに相変わらずやな…。」

トントンが呆れた様なため息を吐く。この短時間で彼のため息を何度も聞いているが、大変なんだな……。苦労がうかがえる。
トントンに同情していたら、扉がばんっと大きな音を立ててあいた。中から出てきたのは黒を基調としたメイド服を身に包んだ綺麗な女性。彼女は乱れてぼさぼさになった髪を丁寧にただす。

「トントン様、どうされましたか？！」

女性は姿勢を正してトントンに向き直る。……一瞬こちらを見た気がする。

「こいつ、新しく入ってきた新入りや。お前に指導を頼みたいねん。」
「…初めまし、(あなた)です。」
「(あなた)ちゃんね！」

よろしく、と微笑みかけてくれる彼女は、この館内のメイド長だとトントンは言う。ちょっと抜けてるけど仕事はできる奴やで、と説明されたが、メイドをまとめる管理職としてそれは大丈夫なんだろうか。