【d!】忠誠心故に【軍パロ】 (ページ36)

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「ロボロ様の側近ってこと？！」
「ちょ、声が大きいよ」

一緒に昼食を摂るついでにさっきのことをマーレに伝えると、思っていた１０倍のリアクションで驚かれた。

「それほんと？」
「ロボロ様から直々に言われたの？」
「どうやって選ばれたの？」

マーレの大声に、食堂内にいたメイドたちがわらわらと私たちの元へ集まり、応える間もなく質問攻めされる。時折、祝福の言葉をかけてくれるメイドたちもいたが、反対に、少し離れたところで嫉妬心を露わにするメイドたちもいた。
彼女たちの気持ちがわからないこともない。まだ1週間しか立たない新人が、自分たちでも選ばれたことのない大役を担うなんて、いい気はしないだろう。けれど、まだ1週間しか経っていないからこそ、選ばれた私もいい気はしていない。だって、新人にそんな仕事を任せる理由がわからないから。経験を積んだメイドのほうが不手際もなく安心なはずなのに、なぜ私なのか。
考えられるのは、私が既に目をつけられているから。行動を制限させるために幹部のもとに付けた、というなら納得がいく。下手な行動はしていないつもりだが、幹部たちには不審に思えるところがあったんだろうか。

「どうしたの？浮かない顔して」
「！ううん、なにも」

マーレの声に、意識が目の前の視界へと移る。周りを囲んでいたメイドたちはいつの間にか元居た席へ戻っていた。やっと落ち着ける、と、食べかけの唐揚げを口に運ぶ。揚げ物なのに、さっぱりとしていて、とてもおいしい。ポン酢が入っているそうな。

「そっかぁ、幹部の側近ねぇ」

もぐもぐと咀嚼しながらマーレは呟く。ごくん、と口の中のものを飲み込むと、マーレはにやりと口角を上げて、内緒話をするように口元を手のひらで隠した。

「もしかしたら、いい情報手に入れらるかもね！」

私たちだけに聞こえる声量で、マーレは嬉しそうに笑う。
私より長く潜入しているマーレでさえ何の情報も得られていないのに、私に出来るのか。そんな不安に心が覆われそうになる。
だけど、閣下のため、国のためにやるしかないのだ。
そのためには、まず栄養補給から、と意気込み、残り一つになってしまった唐揚げを頬張った。