ワケあり少女を救うのは -2- (ページ8)

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合宿最後の客人をページ8

あのあと、仁王とは別れた。
というか、言いたいことだけ言って、去っていったのだ。あいつは。

何がしたかったんだよ…なんて、心の中に残るものをごまかすように思いながら、部屋のベッドに座る。

“手放すのを怖がっちょるんじゃろ？”

頭を巡るのは、先ほどの仁王の言葉。

――違う。そんなんじゃない。

誰にというわけでもないのに、否定し続ける。

コンコン。

１人考えを無限ループに陥らせていると、部屋に高めのノック音が響く。

貴｢……どうぞ？｣

ちょうどいい。
この気を、紛らわしてくれるだろう。

そんな気持ちで、客人を招いた。
多分、この合宿の最後になるであろう客人を。

侑｢お、今日もやってるんやなぁ。いや、合宿最後の夜やし、もっかい記念にやっとこかなー思てな。｣

ニヤリと余裕そうに、妖しげにわらう、その客人。忍足侑士。

私も、同じ笑みを返した。

貴｢それはそれは。言ったでしょう？いつでもどうぞって。そりゃ、今日もやってるよ。｣

侑｢ｸｽｯ…ほなら、最終やし遠慮なくやらせてもらおか。｣

お前は遠慮なんかしたことないだろ。
なんて心のなかで毒づくも、気付いているのかいないのかわからない喰えない笑みを浮かべ続けているそいつ。

はぁ…。

そうため息をつきかけた瞬間だった。

貴｢んんっ!? ふ、ぅ…｣

まさにその一瞬のうちに、唇を塞がれる。
しかも、すぐに舌を絡ませだして。後頭部をしっかりと押さえつけられてる私は為す術もなく、ただその口づけを受け入れる。

それだけなのに、しばらくすると力が入らなくなっていて。それを見計らったように、くちゅ…、っとわざとらしく音をたてて侑士は離れる。

貴｢っ…普段キスなんかしないくせに…。｣

侑｢ええやろ？別に。｣

語尾に音符マークでもつきそうなくらい楽しそうに笑う侑士の余裕綽々な感じが、むかつく。

貴｢っ!?｣

おい…いつのまに…

侑｢んじゃ、手も縛らせてもろたし、やろか。｣

いつのまに縛られたんだよ、コレ…!!