ワケあり少女を救うのは -2- (ページ5)

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にこやか…？ページ5

私が体力を取り戻したあと、蓮は皐と悠人のもとへ、丸井と私は立海のコートへ戻った。

幸「丸井、A、お疲れさま。」

丸井が許可をもらったとは言っていたが、本当に幸村は何をしていたのか知っていたらしく、私たちが戻るとにこやかに声をかけてきた。

…いや、にこやか…なのか…？

幸「それで、丸井？もちろん勝ったよね？」

……違う。ナニカガチガウ。

にこやか？そんなものじゃないな。
笑みが、黒い。勝ち以外の答えが許されないやつだわ。

丸「あ、あたりまえだろぃ！」

その真っ黒い笑みに物怖じして、本当に勝っているのに焦ったようにどもる丸井。

幸「そう、じゃあいいけど。」

笑みがかわってないぞ。まだ何かあるのか。

幸「あ、そういえば、ゲームカウントは？」

あぁ、それか。
「あ、」じゃない。明らかに“そういえば”じゃないだろう。今気づいたわけじゃないだろ。

あと丸井。目が泳ぎすぎだ。やばいですってのモロバレだぞ？まぁ、実際2ゲームなんてのはやばいんだろーが。

はぁ…

丸「そ、その…」
貴「６ー０。」

丸「へ？」

おいこら。へ？言うな。
お前がびっくりしてどうする。ばらしたいのか？グラウンド走らされること目に見えてわかるぞ？

幸「ふぅん…それはほんとなの？」

貴「あたりまえでしょ。４年もやってなかったやつが、現役…しかも立海のレギュラー相手にゲームがとれるわけないじゃん。歯が立たないってか…相手にすらなってなかったよ。」

丸井はやっと私が考えてることに気づいたらしく、呆けた顔じゃなくなった。

幸「そ。それじゃ、早く丸井も練習に加わりなよ？」

気付いているのかいないのか、よくわかんないまま、幸村はそう言って練習に戻っていった。

丸「悪ぃ、助かった！」

右手を顔の前に出してごめんのポーズをとり、小声で謝られる。

貴「別にいいよ。それより、早く練習行かないと怒られるよ。」

丸「おう、サンキュ！」

ま、今回だけな。
テニス、付き合ってくれたお礼みたいなもん。

テニスの楽しさ、思い出させてくれたからさ。

…ありがとね、丸井。