夕日が綺麗ですね*西谷夕 ページ3
幼馴染のバカチビに、恋をしている。
そのバカチビ………もとい西谷は、書類をホチキスで纏める係を担任に押し付けられて、幼馴染の私に泣きついてきたのだ。
目の前の西谷は、慣れない作業に顔をしかめて不機嫌そうにしている。
「あー、めんどくせー! 早く終われバカヤロー」
「だったら早よやれ」
私の言葉に口をつんとさせて、拗ねたように返事をする。
「………へいへい」
「よろしい」
軽口を叩いて、必要があればちょっと手も出す。
この時間が続けばいいのに。
そう思った。
でもこいつが好きなのは、よく名前を聞かされる男バレマネの潔子さん。
あんな美人に敵うわけがない。
こいつが好きなのは私じゃない。
この初恋は叶わない。
それはわかっているつもりだった。
玉砕明確の告白なんて、とても出来ない。
その後に関係がギクシャクするのも嫌だ。
くだらない会話を続けてられるこの関係を、崩したくなかった。
カタン、とホチキスを机に置いた。
「………西谷」
「んー?」
「夕日が綺麗ですね」
「………?」
根性なしの私は、そっと伝えて逃げるだけ。
これで、いい。
───私たちの視線が、交わって絡まった。
「お前、何言ってんだ?」
大きなつり目が、私を捉えて離さない。
……そんな真っ直ぐ見られたら、諦められないじゃない。
「なんでもない! ほら、やろう」
名残惜しくも目線を外して、またホチキスを手に持った。
カシャン、カシャン………と、ホチキスの金属音が静かになった教室に響いていた。
* * *
夕日が綺麗ですね→貴方の笑顔が素敵です
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゲスの極みハイクラ。 x他2人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2017年4月3日 17時