海が綺麗ですね*影山飛雄 ページ2
海を思い出した。
綺麗な青で、でも深くて暗い色。
そんな色の瞳の持ち主は強くて真っ直ぐな私の自慢の彼氏・影山飛雄である。
「ホント飛雄の目って綺麗よね」
「目だけみたいに言うなよ」
純粋にバレーを愛する気持ちも、帰り道私と手を繋いでくれる愛も、全部全部綺麗なのだ。……でもそんなこと面と向かって言えないや。
「ん、月」
飛雄と手を繋いで帰る途中、ふと空を仰ぐと銀色の月が優しく輝いていた。
月が綺麗ですね、が愛してる、という意味を持っていることを知ったのはつい最近のことだ。遠回し、だがしっかりとした意味を持ったその言葉に私は強く惹かれた。
「綺麗だね」
遠回しに愛してる、を伝えてみる。そうだな、と答える飛雄にはきっとホントの意味が伝わっていないのだろう。このバレー馬鹿。ただ海のような飛雄の目が月の銀を捉えていた。
ホントの意味を伝えたくて仕方がない。でも私には無理だ。愛してるとか正面から絶対言えない。想像するだけで顔が熱くなりそうだ。
……伝わらないのなら、ガンガン遠回しに愛の言葉をぶつけてやろう。なら絶対照れない。
「飛雄の目って海みたいだよね」
「海?」
「うん」
凪の海の如き瞳に私の影が映る。
このバレー馬鹿に、私は惚れてしまったんだ。
「海が綺麗ですね」
溺れているんだ。
* * *
海が綺麗ですね→あなたに溺れています
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作者名:ゲスの極みハイクラ。 x他2人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2017年4月3日 17時