No.68 ページ25
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「少しは俺にも危機感持てよ」
シャワーを止めた燈矢くんは、
こちらを一瞥した後
そう言い残して浴室を出て行った。
燈矢くんがいなくなった後も
匂いに、感触に、
熱の篭った視線に
心を乱され続ける。
『もう危機感なんて、持てないよ…』
なにをされてもいい。
嫌なことなんて無い。
私は燈矢くんしか知らないから
この感情が
正解なのか不正解なのか分からないけれど
彼に振り回される平凡な日常が
この上なく幸せだ、ということだけは分かる。
同じ屋根の下に居るはずなのに
離れるとすぐに会いたくなってしまうのは
依存してしまっている証拠なのかもしれない、
と思った。
彼の後を追うように
お風呂から出て寝室に向かう。
入るね、と一言断ってから
彼の体温で暖かくなった布団に潜り込むと
すかさずその腕に強く抱きしめられる。
「…危機感持てって忠告しただろ」
そんなことを言ってくるから
さっき考えていたことを燈矢くんに伝える
燈矢くんを危険だなんて思えないこと。
なにをされても良くて、嫌なことなんて無いこと。
平凡な日常がこの上なく幸せだということ
依存してしまっているかもしれないこと。
「依存、ねぇ…」
「つまり、
俺が居ねェと生きていけないってことか」
『…うん、そういうことになるかも』
「……へぇ、嬉しいね」
その顔が、とても優しそうで。
今世界で彼を独り占めできているのは私なんだと、
途方もない優越感を覚える。
「ただ、危機感は持っとくべきだと思うぜ？」
すると燈矢くんは、耳を苛めてくる。
『……っ、ぅ』
「、言ったろ、続き」
今朝と同じ。
でも、朝に比べると少し性急に感じて。
ふと、さっきまでの
欲に耐えていた燈矢くんを思い出す。
……燈矢くんには、全てをぶつけてほしいから。
『燈矢くん、』
「……なんだ」
『…あの、ね』
『……が、我慢。しなくて、いいよ、』
「……は？」
『なにされてもいいから、
さっきみたいに、無理矢理抑え付けなくていいよ、』
『燈矢くんの、全部が欲しいから、』
痛くても、苦しくても
燈矢くんと一緒なら
燈矢くんに与えられるものなら、嬉しい。
「…本当に無自覚かよ」
そう彼は小さく呟く。
彼の瞳に、熱が篭る。
「嫌じゃねェんだろ？なら、」
飛ぶなよ、なんて悪魔みたいな囁きも
私の脳は都合よく解釈して
甘い誘い文句にしかならなかった。
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しゅん - 涙なしでは見れない作品だ…😭こんな涙腺崩壊した小説ないよぉ…！もうこれは名作と言っていいのでは！？ (2023年3月19日 19時) (
レス) @page45 id: 58dfe2492c (このIDを非表示/違反報告)
mist927(プロフ) - 燈矢だと気づいた時の…彼女の心の声…燈矢の彼女への告白のシ−ンは涙がポロポロ…で感動しました😭不遇だった燈矢をこんなにも愛してくれる女性がいてくれたらと思っていたので嬉しくて嬉しくて…素敵な二人ですね😊続きを楽しみにしております🙇 (2023年1月6日 18時) (レス) id: b76e44f0a0 (このIDを非表示/違反報告)
うに太郎(プロフ) - めちゃくちゃキュンとします😭💕続きは書かれないのですか？！ (2022年11月11日 23時) (レス) @page45 id: 717bee0437 (このIDを非表示/違反報告)
ikettyo(プロフ) - 貴方様の語彙力はどこから出てきていらっしゃるのですか…まじ尊敬します。 (2022年8月8日 20時) (レス) @page45 id: 6e023ebe5b (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 冷夏さん» そう言っていただけて嬉しいです〜😭‼️‼️ありがとうございます！！ (2022年6月9日 5時) (レス) id: f09d5f8a63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無名 | 作成日時：2022年3月27日 7時
