No.65 ページ22
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結局布団から出たのは
お昼ギリギリ手前くらい。
燈矢くんといる休日は
毎回起きるのが遅くなる気がする。
大抵は彼が離してくれないせい。
贅沢で幸せな悩みだな、なんて思った。
先ほどから鳴りまくってるお腹を
元気だなァ、
と言いながら
燈矢くんはケラケラ笑ってくる。
『笑わないでよ……』
こんなになるまで空腹に耐えさせられた私を
労うくらいしてほしい。
その上、燈矢くんは全くお腹が鳴らない。
それ以外にも、
やたら呼吸音が静かだったり
気配を感じない時があって
いつか突然消えてしまいそうな儚さが怖い。
……そんなこともう無いって信じてはいるけれど。
気持ちを切り替えるためにも
料理に取り掛かろうとした時。
「……休んでろよ」
ふと、後ろから抱きしめられそう言われる。
さっきまで散々笑ってきたくせに
突然心配されて、優しい声色で話しかけられるから
ドキドキしてしまう。
『でももう十分休んだし……』
「無理させたくねェンだよ」
『気持ちはありがたいけど…』
「…………貸せ、俺がやる」
『………え！？燈矢くん料理できるの！？』
燈矢くんが作ったご飯食べてみたい！
なんて思ったものの、
次の言葉でその願望は打ち砕かれた。
「……弁当あっためるくらいならできる」
『…それを出来ないって言うんだよ……』
「……」
少しムッとする燈矢くん。
折衷案を考えないと。
『……一緒に作るのはどう？』
私の負担が軽くなって
燈矢くんの家庭力も上がる。
そして何より、燈矢くんの近くに居られる。
「……ん」
納得してくれたみたいで
燈矢くんは小さく頷くと
肩に頭をぐりぐり押し付けてきた。
『まずは離れてくれないと料理できないよ…』
そう言うと、
今度は割とすぐ離れてくれた。
これでやっと、ご飯にありつける。
普段人を燃やしまくってる燈矢くんも
刃物は専門外らしく
包丁を握る手が危なっかしくて
母性本能がくすぐられる。
手取り足取り教えると
飲み込みが早くすぐに上達してくれた。
「お前が教えるのが上手いからだろ」
『燈矢くんが器用なおかげだよ』
完成したのは、余り物で作った簡単な野菜炒め。
少し不恰好なものも入っていて、
不恰好にした張本人は
自分が切ったものに全く手をつけず
私が切った野菜だけ食べている。
でもそれが、結構うれしいなんて
彼が切った歪な野菜たちを食べながら思った。
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しゅん - 涙なしでは見れない作品だ…😭こんな涙腺崩壊した小説ないよぉ…！もうこれは名作と言っていいのでは！？ (2023年3月19日 19時) (
レス) @page45 id: 58dfe2492c (このIDを非表示/違反報告)
mist927(プロフ) - 燈矢だと気づいた時の…彼女の心の声…燈矢の彼女への告白のシ−ンは涙がポロポロ…で感動しました😭不遇だった燈矢をこんなにも愛してくれる女性がいてくれたらと思っていたので嬉しくて嬉しくて…素敵な二人ですね😊続きを楽しみにしております🙇 (2023年1月6日 18時) (レス) id: b76e44f0a0 (このIDを非表示/違反報告)
うに太郎(プロフ) - めちゃくちゃキュンとします😭💕続きは書かれないのですか？！ (2022年11月11日 23時) (レス) @page45 id: 717bee0437 (このIDを非表示/違反報告)
ikettyo(プロフ) - 貴方様の語彙力はどこから出てきていらっしゃるのですか…まじ尊敬します。 (2022年8月8日 20時) (レス) @page45 id: 6e023ebe5b (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 冷夏さん» そう言っていただけて嬉しいです〜😭‼️‼️ありがとうございます！！ (2022年6月9日 5時) (レス) id: f09d5f8a63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無名 | 作成日時：2022年3月27日 7時
