死神に懐かれた時の対処法【名探偵コナン】

口説いちまったのである。 ページ40

.





熱くなった頬を何とか冷ます。脳内でとにかく円周率を数えまくった。





(こんな情けない所を見られる訳には行かない！！ていうか安室さん！？そうかもしれませんって何だい！？口説かれてるの私今！？えええなんでぇぇ、)





「おやおや、照れていらっしゃいます？僕の事は口説く癖に口説かれると何も言えないんですね」



『ばっ……！くくく、口説いてませんし！口説かれ……っ、て、なくはなくもないですけどえっと、』



「ふふ、落ち着いて下さい。ちょっとした仕返しなんですから」



『………っ、ス、スミマセン……』





ふわりと笑う安室さん。その笑顔は初対面の頃より柔らかくなったというか、楽しそうというか……。

ジト目で私が彼を見つめれば、その笑顔はますます優しく柔らかくなった。少しは…良く思ってくれている？と思っていいのだろうか、これ。





(まあ主要キャラに好かれるのに越したことはないからな…疑われるとか本当に勘弁して欲しい！！まじで！)





「何だかAさんとお話するのは楽しいです……流石小説家だ、話の持っていき方がお上手」



『しょ、小説家関係あるんですかねそれ……というか話術が勝っているのは私より安室さんだと思うんですが…？？』



「ふふふっ、どうでしょう？」





(………でも、安室さんのこの笑い方…好きだな。原作で見なかった…というか。初めて見たから新鮮だなぁ)





単に周りから好感触を得られる、ただただ"綺麗な"笑顔じゃなくて……何だろう、くしゃっとした心の底から楽しんでくれている様な。眩しくて愛嬌のあるそんな笑顔。





『………私、安室さんのいつもの笑顔より…今みたいな可愛い笑顔の方が好きですよ』



「……っえ…？」



『………。』





ぽつり、と口から溢れ出たその言葉。つい言ってしまった本心。愛嬌があって……可愛い笑顔。そう、可愛い笑顔。可愛い………、





…………ん？？可愛い……？？





…………。





(………はァァァいまた口説いたァァァァ！！！！)





『ま"っ…！いやあの、安室さん！！今のはちがくて、ほんとに……そ、そういうつもりじゃなくて、！』





どうしよう今のはほんとに言い訳つかない可愛いって何だ男の人に言う言葉か！？何なの私の口は！？取り戻せ言語力！何でも口に出すんじゃないわ！！！


何とか取り繕おうとするけど、口は『えーと、』とか『あーっ……と…』とかしか出てこなくて中々言葉に出来ない。










ー

大人っぽいのである。→←笑われているのである。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す