case4.ファーストキス(zm) ページ4
zm
「キスくらいで動揺してんの？」
あなたの下で唇の端を持ち上げ、にたり、とそれはそれは愉しそうに笑う彼。
傍から見ればあなたが彼を押し倒したような格好に、なっており非常にまずい状況である。
事の発端はそう大したことでもない。
あなたが段差で転びそうになったのを彼が驚異的な瞬発力で庇ってくれた、ところまでは良かったのだが、勢い余ってそのまま彼を下敷きに倒してしまった。そのはずみでうっかり唇同士が触れ合ってしまったのである。
そんな漫画みたいな、と突っ込みたいのは山々なのだが。
『私のファーストキス……』
「なんや、初めてやったんか。道理でそんな顔赤いわけやな」
『うるさい』
「押し倒してきたんはそっちやん」
『誤解を生む表現やめよっか』
火照る頬も冷めやらぬまま、あなたは彼の上から退き、彼の手を取って立ち上がらせる。
「……なぁA。ファーストキス、俺なん嫌やった？」
翡翠のような瞳に宿る邪気のない光があなたの首を横に振らせた。そんな聞き方、ずるい。
彼の唇の温もりを思い出してしまい、口元を隠しながら照れて視線をそらすあなたを見て、彼はまた愉しそうに笑った。
zm side
「ほんま可愛ええなぁ、あいつ」
あなたのいないところでくつくつと笑い声を漏らす彼。
あなたの柔らかく潤った唇の感触を思い出して、自身の唇にさらりと触れる。
「あんなん、偶然で起こるわけないやん」
あなたが彼のことを恋愛対象としてみてくれないから。アピールしても鈍感すぎて気づいてくれないから。このままだと、誰かに取られてしまいそうだったから。あなたが転んだのを良いことに、咄嗟に強硬手段に出たのだ。あなたが少しでも意識してくれることを願って。
「まさか、初めてやとは思わんかったけど」
自分から仕掛けたのにも関わらず、知っていたらもっとロマンチックなシチュエーションにしたのに、と初めてを奪った事実に彼は一人、頬を赤らめた。
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緑黄色野菜(プロフ) - あくのさん» わぁ、ホントですか！？よかったぁ！！ちょっとやりすぎたかなと不安になっていたので喜んで頂けて私も嬉しいです！ (5月3日 17時) (
レス) id: ae06c5e6e2 (このIDを非表示/違反報告)
あくの(プロフ) - ドロドロいいですね...！！！ここまで甘いお話書いてくださる方があまりいないのですごくうれしいです！！ (5月3日 13時) (レス) @page33 id: f9355a1561 (このIDを非表示/違反報告)
緑黄色野菜(プロフ) - りずさん» リクエストありがとうございます！可愛いお話だなんて、嬉しくて嬉しくて(照)甘さマックス、挑戦させて頂きます！ (5月1日 0時) (レス) id: ae06c5e6e2 (このIDを非表示/違反報告)
緑黄色野菜(プロフ) - キルさん» リクエストありがとうございます！そう言って頂けるなんてほんと嬉しくて励みになります……！更新頑張っちゃいます✨ (5月1日 0時) (レス) id: ae06c5e6e2 (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - 主様の作品甘ったるくてかわいくて大好きです！！リクエスト失礼します。ドライヤーsha ver.お願いします！甘さマックスのお話が見たいです..!これからも楽しみにしてます！ (4月30日 23時) (レス) id: 89bf85154f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑黄色野菜 | 作成日時：2024年3月25日 0時
