case19.ドライヤー(em) ページ27
em
「Aさん。髪、乾かさんと風邪ひくで」
お風呂上がり、あなたが髪を乾かすのが面倒でタオルドライのあと何もせずに彼の書庫の本を読み漁っていると、そう注意された。
『だって、面倒臭い……』
本に夢中になっているあなたはここで中断させたくない、となんとかごねる。
『あ！そうだ、じゃあ私の髪、あんたが乾かしてよ』
さも名案のかのようにあなたが彼に提言すると、彼は戸惑いつつも少し嬉しそうな表情をする。
「……え？私が？いいんですか？」
『うん、お願い』
ブオーという、ドライヤーの少しうるさいような機械音のあと、彼は何か壊れ物でも扱うかのような繊細な手つきであなたの髪を漉く。
優しすぎるような気もするが、それはそれで心地よい。
「お痒いところはございませんか？」
『ふふ、ないですよ〜。んふふ、気持ちいい』
彼は髪の乾き具合を手で感じ取って温度も細かく調整していく。温かくしたり、冷たくしたり。
『私の髪、すっごい癖毛だから指通りあんまりよくないよね。縮毛矯正しようか迷ってるんだ〜』
あなたがそう言うと、彼はとんでもないとでも言いたげに、蘊蓄を挟みながらあなたのことを褒める。
「縮毛矯正なんてしたら、髪傷んでまうよ！日本人の8割は癖毛やって言うし気にせんでいいですよ」
それから、彼はあなたの髪を指に通したまま、どこか意識の定まらない独り言のような浮ついた声でこう呟いた。
「それに……私はAさんのくるくるでふわふわの髪、好きやで」
『ふーん、じゃあ女性としての私は？』
「勿論好きや……っておい！何を言わせるんや！」
彼は思わずドライヤーを切り、あなたの口車に乗せられて放ってしまった本音に顔を火照らせる。
『へへっ、良いこと聞いた〜』
あなたは髪を乾かされていた場所から立ち上がり、彼に向かって舌をちろっと出して悪戯っぽく笑った。
あなたは乾かされた髪を人差し指に巻き付けながら、彼の書庫に向かいまた新しい本を探す。
彼があなたの天真爛漫さに一人、悶えていることも知らずに。
Request6.人吸い(ci ver)→←Request5.手フェチ(shp)
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緑黄色野菜(プロフ) - あくのさん» わぁ、ホントですか！？よかったぁ！！ちょっとやりすぎたかなと不安になっていたので喜んで頂けて私も嬉しいです！ (5月3日 17時) (
レス) id: ae06c5e6e2 (このIDを非表示/違反報告)
あくの(プロフ) - ドロドロいいですね...！！！ここまで甘いお話書いてくださる方があまりいないのですごくうれしいです！！ (5月3日 13時) (レス) @page33 id: f9355a1561 (このIDを非表示/違反報告)
緑黄色野菜(プロフ) - りずさん» リクエストありがとうございます！可愛いお話だなんて、嬉しくて嬉しくて(照)甘さマックス、挑戦させて頂きます！ (5月1日 0時) (レス) id: ae06c5e6e2 (このIDを非表示/違反報告)
緑黄色野菜(プロフ) - キルさん» リクエストありがとうございます！そう言って頂けるなんてほんと嬉しくて励みになります……！更新頑張っちゃいます✨ (5月1日 0時) (レス) id: ae06c5e6e2 (このIDを非表示/違反報告)
りず(プロフ) - 主様の作品甘ったるくてかわいくて大好きです！！リクエスト失礼します。ドライヤーsha ver.お願いします！甘さマックスのお話が見たいです..!これからも楽しみにしてます！ (4月30日 23時) (レス) id: 89bf85154f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑黄色野菜 | 作成日時：2024年3月25日 0時
