ななぶんのに 【JW 短編集】

▽ ページ33

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ｶﾞﾁｬｯ


桃｢ただいまぁー！！｣



洗い物やらなんやらをしてると、

のんちゃんがダッシュで帰ってきた。



桃｢とも、ただいま！｣


｢おん。のんちゃん、おかえり。｣



そうやって返事をすると、

今までの元気さはどこへ行ったのやら

眉毛を下げて子犬のような顔で見つめてきた。



｢ん？のんちゃん、どうしたん？？｣



彼氏といえども、のんちゃんは年下で、

元々オカン気質な俺は心配で声をかけた。



桃｢いや、俺のドラマ見たかな？って。｣


｢あー、おん。見たよ。面白かった。｣


桃｢……ごめんな？｣


｢なにが？｣



自分の醜い気持ちをばらさないように、と

少し言い方がきつくなってしまったのだろうか

のんちゃんは全力で抱きしめてきた。



桃｢あの、その…キスシーン？｣


｢あぁ、お仕事やもん。しゃーないよな。｣


桃｢いや、おん。でも……、｣


｢別になんとも思ってないから。へーきやで？｣

｢それに、これからもっと売れて
あーゆーシーンも増えてくるやろうからな。
今のうちに慣れとかなあかんな？笑｣


桃｢自惚れだったらはずいんやけど、
やっぱり、とも嫉妬したやろ？｣


｢べ、別にしてへんし。｣


桃｢何その反応？
やっぱ、しとるやんな？な？？！｣


さっきから感情をコロコロ変えるのんちゃん。

垂れてた耳が消えて、

ブンブン振れてる尻尾が見えてきた。




…………可愛いな。

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