エピソード49 高需要 ページ7
『記憶を、失うんです。古いものから順に。』
相澤「…！！」
ポーカーフェイスの相澤先生も、こればっかりは驚いてるみたいだった。
今無くしてるのはまだ1歳前後の記憶。思い出そうとすると何も憶えてない。
個性をもらってから練習のし過ぎもあって、3ヶ月弱でもう1年間の記憶を失っている。
私の人生の15分の1がたった3ヶ月で減ったんだ。
『寿命は縮んだっていいと思ってるんです。いつかみんな死ぬんだから…。
でも、記憶は忘れたくないんです。私が、生きてきた証だから』
暫くの沈黙が、私と相澤先生を包み込む。
沈黙の膜を破ったのは、相澤先生だ。
相澤「難しい個性だな…。自分の意見がきちんとあるのはいいことだ。
だがな、言い換えて仕舞えばお前の記憶と命が、多くの命を救えるんだ。
忘れたくない気持ちはわからなくもないが、悪いけどそれは私情。
寿命ありきの記憶だ。それこそ、死ねば記憶だって消える。
寿命が縮むことを恐れないのに、記憶が失うことに恐れるのは珍しいな。」
相澤先生は正論を述べてる。全部納得できる。
でも、それでも気乗りしないのは何故なのか、自分でもわからなくなってきた。
相澤「それに記憶は、新しく創ることだってできる。
まあ、今は極力使わないことを許可する…ただ、大切なものを失わないように。」
『はい』
大切なもの、それが指してるものが、半分くらいわかったような気がした。
今はまだ記憶を失うことを恐れてる。
でも、記憶喪失みたいに一瞬で抜け落ちるわけではない。
毎日紙に書き留めては読み返せば、私はどういう人間だったかも思い出すことができる。
私は個性が無かったから家族を失った。でも、今は個性がある。
これからできる守りたいと思える友達とか、そういう大切なものを私情で失わないように。
相澤先生の言葉をそのまま私に当てはめるなら、そういう風に受け取れた。
相澤先生に話して良かった。少し気持ちが楽になったかもしれない。
『ありがとうございました。』
相澤「礼に及ぶようなことは何もしてない…ただ、お前の個性は需要が高すぎる。
ヒーロー側としては、更に個性の強化に力を入れたいんだが」
『強くなりたいという気持ちは私も同じです。出来る限り、力を尽くします。』
相澤「そうか…じゃあ、気をつけて帰れよ」
『はい、さようなら、先生』
軽くなった足取りで、雄英を後にした。
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胡桃 - 励みになります！ありがとうございます^ ^ (2018年5月21日 17時) (
レス) id: c4e799fbe3 (このIDを非表示/違反報告)
さばちゃん@かんづめ(プロフ) - まじっすか！？いやっほー！テストお疲れ様でした！更新無理しない程度に頑張ってください！ (2018年5月18日 20時) (レス) id: d2d6e36cff (このIDを非表示/違反報告)
胡桃 - 死柄木さんいいですよね！テスト終わったのでガンガン更新していきます^ ^ (2018年5月18日 20時) (レス) id: c4e799fbe3 (このIDを非表示/違反報告)
さばちゃん@かんづめ(プロフ) - 死柄木めっちゃ好きっす。更新楽しみにしてまする。 (2018年5月14日 19時) (レス) id: d2d6e36cff (このIDを非表示/違反報告)
胡桃 - はらさん» 教えてくださってありがとうございます！ (2018年5月4日 20時) (レス) id: 7378d7060e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡桃 | 作成日時：2018年5月3日 21時
