エピソード88 出久と、 ページ47
ガラガラガラ。
救護室に誰よりも早く足を運んだのは、
『いらっしゃい、出久。1回戦進出おめでと。』
緑谷「ありがとう…それより、Aちゃん、救護係なの！？」
『まあね、体育祭で出られない代わり程度で…』
殴られて垂れた鼻血を丁寧に拭き取る。
『手…また壊しちゃったんだ』
出久「出来るだけ使わないようにしてるんだけどね…」
無理矢理に作った彼の笑顔は、あまり上手なものじゃなかった。
硝子細工を労わるように、出久の手を優しく取った。
出久の指先に意識を集中させ、個性を使う。
『痛いの痛いの飛んで行け』
その言葉を繰り返すと、紫は消えて元の肌に戻っていた。
出久「すごい！リカバリーガールの時みたいに疲れもないし…」
『巻き戻しだからね。壊れる前の時間に戻したことになってるから、疲れもないっぽい』
出久「ありがとね！じゃあ、僕はスタジアムに戻るよ」
風のように颯爽としてる。みんなの個性、見たいんだね。
緑谷side
ガラガラ…
救護室の引き戸を開け、出ようとする。
『出久、』
僕は何千人何万人といようと、この声の主だけは当てられる自信がある。
迷いの混じった声は、弱々しく、細々としてた。
出久「どうかした？」
出来るだけ、優しい声で尋ねれば、彼女はその先を紡いでくれる。
酷い声で尋ねれば、きっとその先は教えてくれないだろうから。
何年も見てきた、彼女の癖は忘れることはない。
『何回出久が腕を壊しても、私が治してあげるから、』
振り返って、彼女の顔を見る。ゆらゆらと群青色の瞳が揺れる。
『だから！力を、思いっきり使っても大丈夫だよ』
潤んだ瞳で見つめられてしまって、誰が断ることが出来る人はいるのだろうか？
出久「ありがとう、2回戦も頑張るよ！」
『その調子！バイバイ、』
出久「うん、Aちゃんも頑張って！無理しちゃダメだからね？」
ガラガラガラ。
救護室を出る。
あんな強個性を、1年足らずで手なづけてしまうなんて、流石だとは思うけど…
リスクがないわけがない。無理をしたら絶対にどこかでガタが来る。
そうならない為にも…しっかりしなきゃ！
Aside
その言葉で、出久の心にどこまで響いたかはわからない。
あんなこと言ったけど、正直記憶が無くなるのは怖い。
でも、もしもそれで少しでもリスクの重荷を減らせたら…出久はもっと強くなれる。
だったら気張るしかないよね？
頑張ろう、誰かの為に。
ガラガラガラ。
さて、またお客さんだ。
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胡桃 - 励みになります！ありがとうございます^ ^ (2018年5月21日 17時) (
レス) id: c4e799fbe3 (このIDを非表示/違反報告)
さばちゃん@かんづめ(プロフ) - まじっすか！？いやっほー！テストお疲れ様でした！更新無理しない程度に頑張ってください！ (2018年5月18日 20時) (レス) id: d2d6e36cff (このIDを非表示/違反報告)
胡桃 - 死柄木さんいいですよね！テスト終わったのでガンガン更新していきます^ ^ (2018年5月18日 20時) (レス) id: c4e799fbe3 (このIDを非表示/違反報告)
さばちゃん@かんづめ(プロフ) - 死柄木めっちゃ好きっす。更新楽しみにしてまする。 (2018年5月14日 19時) (レス) id: d2d6e36cff (このIDを非表示/違反報告)
胡桃 - はらさん» 教えてくださってありがとうございます！ (2018年5月4日 20時) (レス) id: 7378d7060e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡桃 | 作成日時：2018年5月3日 21時
