エピソード69 似ている ページ28
相澤side
明星A。親譲りの正義感と並外れた身体能力、それを使いこなすスキル。
この若さにしてここまで優秀な生徒は初めてだ。
だが。
戦場では勇敢な勇者だが、今は脆くて儚い硝子のようだった。
目を潤ませるコイツが今にも壊れそうで、
その硝子が割れてしまわないように、それがもう２度と失わないように抱きしめる。
俺は教師で、コイツは生徒。抱き締めるなんて許されることではないとはわかってる。
それでも放っておけないのは、単純に明星の心に寄り添おうとしてる自分がいるからか。
それとも明星に怖い思いをさせた罪悪感が心に纏わりついてるのが気がかりからか。
或いはアイツに似すぎている、という点での肩入れか。
考えれば考えるほど頭の中が混乱していって、考えるのに疲れたのでやめた。
何れにせよ、俺が教師なのに生徒のコイツに抱きしめている、という事実は変わらない。
コイツがどんな思いで泣いているのかはわからない。
だが、俺の腕の中でポロポロと涙を零す明星は、あまりに綺麗だった。
暫くして、最終下校時刻のチャイムが鳴る。
自分で抱き締めたが、その後どうすればいいのかわからなかったから助かった。
温もりが無くなった腕は、無性に哀惜感を感じる。
『ありがとうございました、餓鬼みたいに迷惑かけてすみません。』
相澤「迷惑をかけたと思ったなら次に活かせ。そうやって成長していく」
『はい。それでは、さようなら…』
相澤「苦しい時こそ、笑え。」
コイツの母親は、名言を言うのが得意で、口癖のように言っていた。
驚いて目を見開く。コイツは思った以上に、言葉の力に弱い。ならばこの言葉も届くかもしれない。
ダメ元で言った言葉は、
『はい』
届いた。
コイツの笑顔は、太陽みたいにパッと明るく輝いた。
綺麗に笑う顔は、女神を連想させた。その笑顔に、心臓が跳ねたのは秘密、。
それでは、と言って去って行く姿が見えなくなるまでずっと見つめていた。
笑った顔も、泣いた顔も、全部全部似ている。似すぎている。
俺の愛した唯一の恋人に…
気のせいだと無理矢理思い込ませていたが、あの笑顔を見て確信してしまった。
これからどうするか…。
どうしてもアイツ重ね合わせてしまう自分がいる。
自分の感情や理性がコントロールできる自信なんてない。
相澤「はぁ…」
小さく溜息を吐き、久しぶりの感情に襲われた。
ーーーーー
相澤先生は昔恋人がいた設定です！
エピソード70 全ての人にとっての→←エピソード68 ヒーロー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
胡桃 - 励みになります！ありがとうございます^ ^ (2018年5月21日 17時) (
レス) id: c4e799fbe3 (このIDを非表示/違反報告)
さばちゃん@かんづめ(プロフ) - まじっすか！？いやっほー！テストお疲れ様でした！更新無理しない程度に頑張ってください！ (2018年5月18日 20時) (レス) id: d2d6e36cff (このIDを非表示/違反報告)
胡桃 - 死柄木さんいいですよね！テスト終わったのでガンガン更新していきます^ ^ (2018年5月18日 20時) (レス) id: c4e799fbe3 (このIDを非表示/違反報告)
さばちゃん@かんづめ(プロフ) - 死柄木めっちゃ好きっす。更新楽しみにしてまする。 (2018年5月14日 19時) (レス) id: d2d6e36cff (このIDを非表示/違反報告)
胡桃 - はらさん» 教えてくださってありがとうございます！ (2018年5月4日 20時) (レス) id: 7378d7060e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：胡桃 | 作成日時：2018年5月3日 21時
