エピソード68 ヒーロー ページ27
先生は私がお見舞いに来てるからか、気遣って座ってくれた。
『自分のミスで先生をこんなにボロボロになるまで大怪我を負わせてしまって…
本当に、すみませんでした。』
深々と頭を下げた。
いくら先生の傷が癒えようとも、先生を大怪我させてしまったのは紛れもなく私。
今の私に出来るのは、謝罪を込めたお辞儀しかできない。
相澤「…憶えてるか、あの時俺に言ったこと。」
『え、？』
予想外の返答に思わず気の抜けた声を出してしまった。
もっとこう、ガツンと怒られるかと思って身構えてたのに。
正直言って、USJで起きたことは断片的にしか覚えてない。
相澤「逃げたら、ヒーローじゃないんだろ？」
『！』
先生に言われて、消えていた記憶が蘇った。確かにそんなこと言った気がする。
相澤「悔しいが…確かにあの時のお前は俺のヒーローだった。」
私が…ヒーロー…？
今まで画面越しに見るヒーローの姿に憧れて、狂ったようにヒーローの情報漁って、
血を流しながらしんどい訓練して、地味で大変な誰でも出来る奉仕活動しかできなかった私が、
初めて誰かの心を救うヒーローになれた。私だけが、相澤消太をいう1人の人間の心を救えた。
それが胸が苦しいほどに嬉しくて、目に熱が帯びる。
涙目になった私を見兼ねて先生は、しょうがないな、とでも言うように微笑して手招きをした。
なんだろう、と不思議に思いながら先生の傍に寄った。ら。
情報処理力には自信があったけど、今の状況を把握するのに時間がかかりすぎた。
これって、
抱きしめられてる、。
脳内パニック起こして頭真っ白。体中が風邪を引いたみたいに熱い。
抵抗する力もないくらいに脱力して、もうどうしていいのか分からなくなった。
相澤「怖かったろ…よく頑張ったな。」
最初は怖かった。黒い塊が、目にも止まらない速さで先生の骨を折り、痛めつけてた。
見てるだけで眩暈がした。今すぐにでも逃げたかった。
不安や恐怖を拭ってくれたのは、紛れもなく相澤先生。
あの時、先生はどんなに傷つこうと決して諦めた目をしてなかった。
強い瞳。屈さない横顔。それが私を動かした。本当にすごいのは相澤先生。私は動かされただけ。
それでも。
私の勇気は、先生に届いた。それだけが、私の心を満たしてくれた。
それ同時に、安心からか涙が零れて、先生の服を濡らした。
その雨は暫く止みそうになかったが、それでも先生は雨が止むまで静かに抱きしめてくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 43人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
胡桃 - 励みになります！ありがとうございます^ ^ (2018年5月21日 17時) (
レス) id: c4e799fbe3 (このIDを非表示/違反報告)
さばちゃん@かんづめ(プロフ) - まじっすか！？いやっほー！テストお疲れ様でした！更新無理しない程度に頑張ってください！ (2018年5月18日 20時) (レス) id: d2d6e36cff (このIDを非表示/違反報告)
胡桃 - 死柄木さんいいですよね！テスト終わったのでガンガン更新していきます^ ^ (2018年5月18日 20時) (レス) id: c4e799fbe3 (このIDを非表示/違反報告)
さばちゃん@かんづめ(プロフ) - 死柄木めっちゃ好きっす。更新楽しみにしてまする。 (2018年5月14日 19時) (レス) id: d2d6e36cff (このIDを非表示/違反報告)
胡桃 - はらさん» 教えてくださってありがとうございます！ (2018年5月4日 20時) (レス) id: 7378d7060e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：胡桃 | 作成日時：2018年5月3日 21時
