エピソード66 笑え。 ページ25
勝利を過信した瞬間が1番危うい。
元々用心深いから、安心したら安心し切る。その癖が裏目に出た。
大きな塊を原子レベルに分解するのは極めて困難。時間がかかることを計算に入れてなかった。
まずいと思って回避するには遅くて、お腹に強烈な右ストレートが華麗に決められた。
脳無の懐に居たはずなのに、起き上がって間合いを確認すると30mくらい。
こっからじゃ巨体すら小さく見える。
致命傷パンチをまともに食らったから肋骨が折れてるな、これ。
お腹に手を当てると硬い突起物のようなものが出てる。開放骨折か、全治何週間なんだろう？
息苦しくなって咳をすると、嫌な音を立てて赤い液体が口から溢れた。
最初は血を吐くのに抵抗があって我慢したけど、量が思ったより多くて地面に吐き出した。
びちゃびちゃと地面に落ちては染み込む。嫌悪感しか湧かない。露骨に眉間に皺を寄せた。
口内は鉄の香りが残る。…気持ち悪い。
『油断した…でも、学習した。次こそはボロボロに崩す。』
独り言を言ってから、一旦頭を整理する。
一旦相手の時を止めてから分解を始める。
時を止めて分解もするなんて今までやったことなかったし、体への負担も考えると計り知れない。
リスクを考慮して横着したけど、やっぱり横着はよくない。
私は昔から骨は強い方だった。でも、脳無はいとも容易く私の丈夫な肋骨を折った。
あのパワーと瞬発力は尋常じゃない。下手に手を抜いたら今度こそ命に関わる。
その上、私の命だけじゃなくて瀕死状態の相澤先生も、この中にいるみんなの命も危ない。
私が今出来るのは、オールマイトがここに来るまでの時間稼ぎ、と言ったところか。
やってやろうじゃん、ボロボロになるけど最後に美味しいとこ全部持ってかれる名脇役を。
立ち上がって脳無の正面に向かう。
相変わらずアホ面かましてるけど、もう平気。怖くない。
さっきまでの脳無に対する恐怖がスリルに変わって、スリルを楽しむ自分がいた。
スリルを楽しむだなんて、そんな余裕どこにも無いのに。
窮地に立たされてる中、溢れ出す自信は一体何処から湧いてくんだろう？
自分のことは自分が1番わかってるはずなのに、この自信の根源はどうしてもわからなかった。
脳無なんかよりも、自分のことがわからなくなってる自分の方が断然怖い。
まあ兎に角、
「苦しい時こそ、笑え。」
脳裏にチラついた言葉は、母さんの口癖。
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胡桃 - 励みになります！ありがとうございます^ ^ (2018年5月21日 17時) (
レス) id: c4e799fbe3 (このIDを非表示/違反報告)
さばちゃん@かんづめ(プロフ) - まじっすか！？いやっほー！テストお疲れ様でした！更新無理しない程度に頑張ってください！ (2018年5月18日 20時) (レス) id: d2d6e36cff (このIDを非表示/違反報告)
胡桃 - 死柄木さんいいですよね！テスト終わったのでガンガン更新していきます^ ^ (2018年5月18日 20時) (レス) id: c4e799fbe3 (このIDを非表示/違反報告)
さばちゃん@かんづめ(プロフ) - 死柄木めっちゃ好きっす。更新楽しみにしてまする。 (2018年5月14日 19時) (レス) id: d2d6e36cff (このIDを非表示/違反報告)
胡桃 - はらさん» 教えてくださってありがとうございます！ (2018年5月4日 20時) (レス) id: 7378d7060e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：胡桃 | 作成日時：2018年5月3日 21時
