43#暗躍する懐刀 ページ45
.
「では。枸杞、審神者就任おめでとう。乾杯」
「「「かんぱーい!」」」
今剣様と岩融様のお散歩から帰ってくると、国広と一緒に自室でしばらく待っているようにと言われ、半刻ほどした頃に薬研様と乱様が迎えに来た。
今夜は宴、だそうだ。
「見習いは酒呑めねえのか」
『はい。まだ未成年なので』
「枸杞にあげるなら代わりに僕がもらいますけど」
酒瓶を片手にやって来たのは和泉守様。
と、その後ろに控える堀川様。国広は猪口を彼等の前へ突き出すとそう言って笑った。
「おう、分かった。ところで、お前、あと半刻したら厨来いよ」
「あー、はい。分かってます」
「僕もお手伝いしますからね」
「うん」
謎の会話。
私にはさっぱり分からなかった。
『国広、二人の話って何?』
「お前は知らなくていい話」
『ケチ』
「はぁ? 意味分かんないんだけど。そんなに泣かされたい?」
『ひっ……ご、ごめんなさい』
「ま、後で泣かすのは決定事項だけど」
『えぇ?』
ニッと笑った国広。
絶対にこの笑い方は何かある。
燭台切様の作ったお膳はどれも美味しいものだった。お礼に行こうかと思ったら、国広に着物の裾を掴まれて行けなかった。
そして、しばらく粟田口派の方々と話していると、いつの間にか国広がいなくなっていた。
「あれ、国広は?」
「堀川さんなら俺たちが来てからすぐに部屋から出て行ったよ?」
「さっき、というか……午前中から部屋にいなくて、何か様子おかしかったんです」
「「「!?」」」
あからさまな反応。
やっぱりこれは何かある。
「枸杞さん、今日の着物も可愛いね!」
『あぁ……有難う御座います。乱様』
「枸杞殿、堀川殿なら直に戻ってきますよ」
『!』
その時、障子が開き、戦装束に黒い着流しを羽織った国広が入ってきた。
障子の外からは藤様の堀川様と和泉守様、燭台切様と鶴丸様が覗いていた。
近くにいたはずの粟田口派の方々はいつの間にか席に戻っていて、辺りが大きく空けられ、私だけが残されていた。
『?』
「枸杞」
『な、何?』
「お前の真名、書類覗いたけど見れなかったから教えて」
『駄目でしょ』
「うん、その反応されると思ってた」
何がしたいの……?
みんなのこの様子は何……?
「僕、堀川国広は貴女のことが好きです」
『え、あ、私も好きだよ?』
「あぁ、もう。鈍感」
(え?)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 108人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：化野燎 | 作成日時：2017年11月5日 0時
