花に囀ずる。【刀剣乱舞】 (ページ30)

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28#乱れる戦況ページ30

(Side,歌仙兼定)

『藤様。警戒態勢を取った方が宜しいかと思います』

「えぇ。第四部隊は彼女を連れてゲートの反対側に____」

『結構です。私は前線に出ます!!』

そう言った神無月は動きやすいように軽く着物の裾を広げ、懐から数枚の札を取り出すと縁側から外へ飛び出した。

「乱! 神無月に付いてくれるかい?」

「もっちろん!」

神無月は戦の指揮に長け、武術にも長ける。戦に関しては僕たちも頷けるほどのものがある。

しかし、所詮は人の子。
どうにもならないことだってある。

「主、指示を」

「第一から第四部隊まで戦闘態勢に。残りの者は本丸を死守!!」

「「「応!!」」」

主の近くに残るため、和泉守に第一部隊長は任せた。足元では、こんのすけがゲートの様子を窺っていた。

「不正アクセスコードです。限りなく政府関係者に近いのですが……」

「政府関係者……?」

「汚職役人か……?」

「あっ、レーダー感知しました! 遡行軍の反応です!!」

「えぇ!?」

「敵の総数は其処まで多くはなさそうなのですが、少しばかりいつも観測されるノイズ周波とは異なりますね……」

何が起こっている……?

神無月を行かせてしまったが、平気だろうか。退院したとはいえ、まだ病み上がりの身体だ。

「結界への接触を確認。座標が特定されています!」

「救難信号出せないの?」

「外部通信が妨害ノイズによって切断されています」

まずい。
このままでは全滅しかねない……。

その時____

「大将! 歌仙の旦那!!」

「薬研?」

「白札無いか!? 見習いが足りないらしい!」

「前線で何が____」

「見習いがひたすらに結界を強化展開してる。同時進行で踏み込まれた際に発動する術式も張り巡らせてる」

「そんな高度な……」

只者ではない。
知っていた。
あの冴えた頭をした少女。

「大将」

「ん?」

「これ。見習いからだぜ。俺が受け取ったんだが、持ってるといい」

そう言って薬研が主に投げたのは、藤の花が揺れる美しい簪だった。
其処にはあの少女の霊力が強く刻まれていた。

「これ……」

「見習いのまじないだ。加護、だとよ」

(神無月さん……)
(こんのすけ、状況を)